Q.小早川一博 議員(公明)
本制度は、障害がある方とその家族の経済的負担を軽減するため、医療機関を受診した場合の医療費の一部を県と市町村が助成する制度です。現在、精神保健福祉手帳保持者の対象は1級のみで、精神病床への入院費は対象外です。他の身体障害や知的障害の手帳保持者と比較をしても、助成対象が狭く、同等ではない状況です。
現在、11の府県が精神手帳2級までを対象としています。その一つである福井県の取組を会派で視察いたしました。
福井県では、自立支援医療受給者を条件に、精神障害者保健福祉手帳の1級、2級保持者まで助成対象にしています。自立支援医療制度は、心身の障害を除去、軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。福井県では、平成18年度に障害者自立支援法が施行されて以降、精神障害者の医療費負担増加に伴い経済的事由による医療中断が懸念され、重度の精神障害者に対する適切な医療を確保するため、医療費無償化の対象を拡大しました。精神障害者が社会復帰するためには、医療の継続による病状の安定化が何よりも重要であり、適正な医療を続けることで病状の悪化を防ぎ、安定した社会生活を送ることを目的に拡充をされたとのことです。
大事なことは、しっかりと支援を前進させている府県があるということです。当事者やその親、きょうだいも高齢化が進んでおり、親亡き後の不安は尽きません。特に経済的な問題が大きく、障害者総合支援法により精神科医療には上限が設定されていますが、それ以外の病気になった場合は経済的な負担が大きく、多くの場合は親が支えているのが現状です。精神障害を抱えながらも、当事者の方々は、何とか自分の人生を生きたい、できるなら人の役に立ちたいと願っています。
県において、これまでの多岐にわたる検討や市町村との意見交換、他府県の先行事例を踏まえ、予算規模やその効果などを十分に熟慮されてきたのではないでしょうか。市町村の意向を踏まえ、そして何より当事者やその家族に寄り添った制度とするため、精神手帳2級まで助成拡充を進めていくべきです。知事のお考えを伺います。
A.大野元裕 知事
対象拡大に関する市町村の意向としては、令和6年6月に実施した調査で、46団体が「財源確保などの懸念から判断できない」と回答をし、拡大意向の団体からも制度の持続可能性に不安を持つ状況が確認をされました。
このため、今後の検討に当たり、まず、「県が補助対象を拡大した場合には対象拡大を行う」という回答があった15の団体に対し7月から個別にヒアリングをし、その後も適宜、意見交換や情報収集を行っています。
その中で、これらの15団体からは、「財政状況が厳しく慎重に検討したい」、「対象拡大に当たっては何らかの条件設定の検討が必要」などの意見が出されました。
また、実務上の課題として「拡大に当たり現行システムの改修が必要」、「条例改正や関係者への周知などに一定の準備期間が必要」などの御意見も頂いております。
議員お話しのとおり、精神障害者が安定した社会生活を送るためには、病状の安定化が必要であり、適切な医療の継続により病状の悪化を防ぐことが重要であります。
こうした医療継続を支援する医療費助成制度は、本来、国が一律の基準でナショナル・ミニマムとして実施すべきものであり、お住まいの市町村によって極端な差異があってはならないものと考えます。
仮に地方単独で医療費助成制度を充実させるとしても、県内のできるだけ多くの市町村、可能であれば全ての市町村に参画を頂く必要があると考えます。
こうした観点から、引き続き市町村の意見を伺いながら、福井県を含めた先行府県の取組を参考にしつつ検討を進めてまいります。
再Q.小早川一博 議員(公明)
先ほどの答弁で、市町村に対してヒアリングを行うなど検討を着実に進めていただいていることに大変感謝申し上げます。
質問させていただいた内容で、どうしても1点、答えていただきたい内容がございましたので、再質問させていただきます。
これまで当事者、御家族、ごきょうだい、多くの方からお声を頂いてきました。他の障害と同じ扱いをしてほしい、同等にしてほしい、そういった思いを頂いて、当事者とその御家族に寄り添った制度になるように検討を進めていただきたいというふうに最後に御質問を申し上げました。その点で、知事の率直な思いを再度お伺いいたします。
再A.大野元裕 知事
先ほど私申し上げましたとおり、本来は国が一律の基準でナショナル・ミニマムとして実施すべきものではありますが、仮に実施するとしても、お住まいの市町村によって極端な差があってはならないと考えます。
その一方で、先ほど再質問の際にあったとおり、当事者、あるいはその御家族に寄り添った制度である、この2つが求められるというふうに考えております。
現時点におきましては、私どもといたしましては、様々な不安や課題について市町村から御意見があり、残念ながら現時点では可能な限り多くの市町村に参加いただいて、極端な差が生じないと見込める状況には至っていないと考えております。
そこで、先ほどお話しがございましたことも踏まえて、改めて市町村に対しヒアリングを積極的に進めたうえで、検討させていただきたいと考えます。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。