5 「犬猫の殺処分を『ゼロ』へ」について(保健医療部長)

Q.石渡 豊 議員(公明)

本県の犬猫の殺処分数の歩みを省みますと、今から16年前、平成14年度は犬が5,023頭、猫が5,628頭でした。令和元年度には、犬が86頭、猫が536頭となり、昨年、令和3年度は犬が11頭、猫が328頭と、ここまで本県は減らしてくださいました。この成果には、本県職員の御努力と、併せて多くの県民の御協力もあったことと拝察します。
本県は知事の英断により、更なるもう一歩に踏み出しました。それは、令和2年度末の埼玉県動物愛護管理推進計画の改正です。新たな目標として、犬猫の殺処分ゼロを掲げました。私は、率直に驚きました。「ゼロを目指して」ではなく、「ゼロに到達させる」としました。しかも、達成年限は令和12年度と明示されたのであります。これはまさしく知事のなみなみならぬ御決意と敬服いたします。
さて、本県は殺処分の削減の基本となる3つの柱を立てました。1本目の柱は、飼い主からの安易な引取りを抑制すること。2本目の柱は、収容した犬猫の中には迷い子もいますので、元の飼い主さんにお返しすること。3本目の柱は、収容した犬猫を譲渡すること。この3つの柱、私は応援したい気持ちでいっぱいです。
それでは、収容犬猫の譲渡と野良猫の繁殖抑制についてお伺いいたします。
1点目は、処分せず、できる限り譲り渡しするという収容犬猫の譲渡ですが、その成果をお示しください。
2点目は、収容比率が高い野良猫の子猫を減らすとする野良猫の繁殖抑制ですが、TNR活動による不妊・去勢手術と地域猫活動となりますが、それぞれの活動内容と成果をお示しください。
3点目は、令和3年度には犬が11頭、猫が328頭、成果はここまで来ました。しかし、ここからのゼロ達成がとても大変と思います。本県はゼロ達成に向けてもう一手、これをどのようにお考えですか。
以上3点、保健医療部長の御所見をお聞かせください。

A.山崎達也 保健医療部長

まず、犬猫の譲渡に関する成果についてでございます。
議員御指摘のとおり、犬猫の殺処分ゼロを目指す上で、譲渡の推進は重要な取組でございます。
譲渡を幅広く行うため、平成29年度から登録団体との協働により県庁や動物指導センターを会場とする譲渡会を開催するなど、譲渡の機会を増やしてまいりました。
この結果、動物愛護管理推進計画を策定した平成19年度当時の譲渡数は462頭でしたが、令和3年度は942頭まで伸ばすことができました。
次に、不妊・去勢手術と地域猫活動それぞれの活動内容と成果についてでございます。
県で収容される犬猫のうち、野良猫の生んだ子猫が約4割を占め、これを減らすことは殺処分をなくす上で不可欠です。
そこで、県では平成24年度から「地域猫活動」に取り組む市町村に対して、補助事業を開始しました。
「地域猫活動」は、野良猫に不妊・去勢手術を行い、地域ぐるみでエサやトイレの世話を行うもので、野良猫の削減に加え、生活環境の改善も期待されるものです。
この事業により令和3年度までの10年間で1,397頭に手術を行い、補助を受けた18の市町からは「野良猫が減り、生活環境が改善した」といった効果が報告されています。
また、平成29年度からは市町村や動物愛護推進員が実施する不妊・去勢手術を対象にその経費を補助する事業も開始し、この事業では令和3年度までの5年間で4,311頭の手術が行われております。
この2つの事業による相乗効果として、平成23年度に2,292頭であった野良猫の収容数は、令和3年度には401頭となり、10年間で約8割減少しております。
次に、殺処分ゼロ達成に向けた「もう一手」についてでございます。
令和4年度の1月末までの殺処分数は、犬13頭、猫163頭の合計 176頭であり、前年同時期と比べ約4割の減少となっています。
今後更に猫の殺処分ゼロを目指していく上では、死亡しやすく譲渡することが困難である幼齢の子猫の譲渡の推進を図る必要がございます。
野良猫が生んで間もない子猫が収容された場合、離乳して譲渡ができる状態になるまでの間、授乳や排便の介助など大変な手間を要するため、やむを得ず処分するといった課題がございました。
その対策である「もう一手」として、現在、子猫育成ボランティア制度、通称「ミルクボランティア制度」に取り組んでおります。
「ミルクボランティア制度」は、ボランティアの方に離乳前の子猫を譲渡できる状態まで育てていただくもので、令和元年度の開始当初は11名であったボランティアも、現在は31名まで増え、累計83頭の子猫が育成後、譲渡されております。
これまで難しかった離乳前の子猫の譲渡をこの取組により進め、殺処分のさらなる削減につなげてまいります。
また、令和3年12月に「埼玉県動物の愛護及び管理に関する条例」の一部が改正され、飼い主になろうとする者の責務が新たに規定されました。
この規定は、衝動に駆られて飼い始めたペットが安易に飼育放棄されるのを抑止するためのものであり、ペットを飼おうとする方すべてにしっかりと理解してもらうことが「次の一手」としても重要と考えます。
このため、飼い主予備軍に向けたセミナーや広報などを通じて、飼育する前の心構えについて、積極的に啓発活動を進めてまいります。
議員お話しのとおり、県では、安易な「引取の抑制」、迷子動物の「返還の推進」、新たな飼い主への「譲渡の推進」を3つの柱として掲げ、殺処分の削減に取り組んでまいりました。
この3つの柱を基本に、さらなる「次の一手」も考えていきながら、今後とも「殺処分ゼロ」の達成に向け、しっかりと取り組んでまいります。

※上記質問・答弁は速報版です。
※上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
※氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。

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