Q.萩原一寿 議員(公明)
新生児の聴覚障害は1,000人に1人の割合でいるとされていますが、出産直後の早期発見とその後の早期療養により、音声言語の発達などへの影響を最小限に抑えられると言われています。そこで重要となる新生児聴覚検査は、先天性難聴の早期発見に有効として国が推奨していますが、検査を受けるかどうかは任意になります。
一昨年、日本産婦人科医会が発表した調査結果によれば、埼玉県内の検査が可能な産科医院などは全体の9割、平均5,000円ほどの検査負担もあり、新生児の約15%が検査を受けていません。その一方で、検査機器が導入されていない医療機関もあります。
新生児聴覚検査の情報を妊産婦に周知するとともに、検査できる医療機関の拡充や、障害を発見した後に早期療育に結び付ける支援の充実などが重要です。国は全ての新生児の聴覚検査の実施に向けて、全国の自治体に積極的な公費助成を求めています。福島県、群馬県、静岡県に続き、今年度からは東京都で全市町村が公費負担を実施しています。本県内では、公費負担を行っている市町村は今年3月時点で三つと聞いています。これを63の全市町村が行えるよう、県は積極的に推し進めるべきです。
例えば、市町村の公費負担における事務的な負担を軽減するために、県が一括契約している妊婦健診の助成券に新生児聴覚検査1回分の助成券を新たに加えてはいかがでしょうか。全ての新生児が県内全域で新生児聴覚検査を受けられるための体制整備と、早期療育に向けた取組を充実すべきと考えますが、保健医療部長の見解を求めます。
A.関本建二 保健医療部長
まず、全市町村が公費助成を行えるよう県が積極的に推し進めるべきについてでございます。
今年6月、県内市町村に聴覚検査の実施状況を調査したところ、今年度開始した5町村を含め公費助成を行っているのは8市町村でございました。
これまで市町村には、公費助成の財源が地方交付税措置されていることや、検査の重要性を丁寧に説明してまいりました。
今年度は、全市町村での実施を目指しまして直接市町を訪問して事業実施を要請してまいります。
次に、妊婦健診の助成券に聴覚検査1回分の助成券を新たに加えてはどうかについてでございます。
これによって検査が受けやすくなるとともに、半数の市町村からは、県による一括契約を求める意見もいただいております。
こうしたことから、妊婦健診の助成券に聴覚検査の助成券を加え、県が一括契約を行う方向で関係機関と調整を進めてまいります。
次に、全ての新生児が県内全域で聴覚検査を受けられるための体制整備についてでございます。
医療機関が検査を実施していない主な理由としては、分娩を休止していることや、人員の確保が困難なことです。
県では、聴覚検査を実施していない医療機関で生まれた新生児も検査を受けられるよう、対応可能な医療機関を保護者や市町村に情報提供しております。
今後は、実施していない医療機関を訪問して実施を働きかけ、県内全域の検査体制の充実を図ってまいります。
次に、早期療育に向けた取組の充実についてでございます。
支援が必要な新生児は、早期に療育の専門機関につなぐことが重要です。
埼玉県社会福祉事業団が運営するそうか光生園や皆光園などでは、言葉の理解や言語力を身につける訓練を行っています。
聴覚検査で聞こえの問題が疑われ、精密検査で支援が必要と判断した医療機関は、こうした療育機関を紹介します。
早期療育につなげるため、市町村の行う新生児訪問事業など、早期に保護者と面会する機会を捉えて支援の必要性を確認するよう、県として市町村に要請しております。
今後は、市町村の先進事例の横展開を進めるための研修会を実施するなど、早期療育に向けた取組の充実を図ってまいります。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。