「かかりつけ薬剤師・薬局」について

Q.石渡 豊議員(公明)

本県は、地域包括ケアシステムの構築に向けて、2016年度から2018年度までモデル事業に取り組みました。この2月16日、モデル自治体4市町から成果報告を受け、今後大いに参考にして、県下市町村を支援するとお聞きしております。市町村で実施していく地域包括ケアシステムですが、多職種の人々が関わりながらも、特に医療分野は、限られた医療人と医療機関に支えられて進めることになります。こうした中にあって、本県は、重要な一機関として薬局を位置付けているとお聞きしています。本県内には、保険調剤薬局が2,768ございまして、多くの薬剤師さんが従事なされております。
さて、薬局の薬剤師さんですが、薬を患者さんに渡すとき優しく説明してくださいます。例えば「飲み忘れていませんか。お薬カレンダーを使いましょうね」、「飲みづらいことはありませんか。ゼリーをつけましょうね」、「薬の種類が多いです。一包化しておきましょうね」 ─ 袋を出しますか。「家に薬が余っていたら、このバッグに入れて持ってきてください」 ─ ちなみに、このバッグは薬局でただでくれます、どこでも。本当に優しいです。高齢者の患者さんからの問いですが、一つひとつ薬を指さしてゆっくりと説明してくださいます。高齢者は理解されます。
お伺いします。
1点目は、今後高齢者の患者さんは増えますし、在宅医療や終末期医療の患者さんも増えてまいります。こうした患者さんへは、「かかりつけ薬剤師・薬局」は欠かせないのではないかと考えます。その役割をお聞かせください。
2点目、国は、2025年には全ての薬局をかかりつけ薬局としていくとしています。本県はどう見込まれていますか、また、どのように支援なされますか。
3点目、各市町村の地域ケア会議、この会議には薬剤師が関わるよう市町村に働き掛けていただけませんか。
4点目、埼玉県5か年計画では、ジェネリック医薬品の普及を進めるとしています。掲げた指標には、ジェネリック医薬品の数量シェア、平成26年度末の59.8%、これを平成33年度末に目標値80.0%以上と掲げております。達成の見込みですが、本県はどのようにお考えですか。保健医療部長にお伺いします。
 

A.本多麻夫 保健医療部長

まず、在宅医療や終末期医療の患者さんに対する「かかりつけ薬剤師・薬局」の役割についてでございます。
国は、平成27年10月に「患者のための薬局ビジョン」を策定し、薬局機能を「門前」から「かかりつけ」、そして「地域へ」と広げていく考え方を示しました。
これは、門前薬局が主に特定の医療機関の患者さんの薬を提供するのに対し、かかりつけ薬局は個々の患者さんがかかっている複数の医療機関と調整を行うなど、その患者さんの服薬を総合的に担っていこうという考え方です。
患者さんに「かかりつけ薬剤師・薬局」を選んでいただくことにより、その患者さんの全ての薬の情報を安全で無駄なく管理することが可能となります。
このため、「かかりつけ薬剤師・薬局」には患者さんが受診する医療機関と連携し、残薬対策や重複投薬の防止など、その患者さんに適した薬物療法を提供する役割が期待されております。
特に、在宅医療や終末期医療では、抗がん剤の調剤など高度な技術も「かかりつけ薬剤師・薬局」の役割として重要です。
次に、2025年までに本県全ての薬局がかかりつけ薬局となる見込みと、その支援についてでございます。
平成30年1月1日現在、本県のかかりつけ薬局数は1,361薬局で、保険薬局の49.2%でございます。
まず、県民の皆様にかかりつけ薬局を持っていただけるよう、健康まつりや薬と健康の週間などの機会をとらえて「かかりつけ薬剤師・薬局」の普及啓発を図ってまいります。
本県では、医療機関を受診せずに薬を買いに来た方に必要な受診を勧めるため、かかりつけ薬剤師のコミュニケーション能力の向上を図る研修を実施しております。
また、薬剤師会と連携し、「かかりつけ薬剤師・薬局」として患者さんの薬の飲み残しに対して効果的に助言や支援を行えるよう服薬ボックスを活用した具体的な方法について情報提供を行っています。
在宅医療や終末期医療では専門的な技術を要する無菌調剤が必要となるため、無菌調剤技術の専門研修を実施するとともに、多くの薬局が無菌調剤室を共同利用できるよう具体的な方法を提示しています。
こうした取組を通じ、2025年までに全ての薬局をかかりつけ薬局にできるよう薬剤師会と連携を密にしてしっかりと取り組んでまいります。
次に、地域ケア会議に薬剤師が関わるよう、市町村に働きかけられないかについてでございます。
地域ケア会議に薬剤師が参加している市町村は、現在、42となっております。
県は、市町村に対して地域ケア会議の立上げを支援するとともに、薬剤師をはじめとする専門職を複数の職種からなるケアチームの一員として育成するための研修を実施しています。
また、薬剤師会を通じ地域の薬剤師が薬の専門家として地域ケア会議に参加するよう呼びかけも行っています。
引続き、全ての市町村において薬剤師が地域ケア会議に参加するよう福祉部と連携して積極的に市町村に働きかけを進めてまいります。
次に、平成33年度末におけるジェネリック医薬品の数量シェア80%達成の見込みについてでございます。
本県のジェネリック医薬品の数量シェアは平成26年度末は59.8%でしたが、平成29年9月現在70.8%となっており、全国平均の69.6%をやや超えている状況となっております。
医療関係者や県民の中には、依然としてジェネリック医薬品の品質に不安を抱いている方がおり、ジェネリック医薬品を使用しない大きな理由となっています。
県では医療関係者や県民の方の意識を変えていただけるよう、ジェネリック医薬品の品質に対する正しい知識について情報提供や啓発活動を行っております。
医療関係団体と連携し県民向けのセミナーを開催するなど普及啓発を行うとともに、医師会、薬剤師会など医療関係者向けの勉強会の開催やジェネリック医薬品工場の視察も行っております。
また、患者さんにジェネリック医薬品を選んでいただけるよう差額通知の個別送付やジェネリック医薬品希望シールなどの配布も行っております。
このほか、医療機関においてジェネリック医薬品がより多く選択していただけるよう、一般に広く使われているジェネリック医薬品のリストを医療関係者に周知しています。
これらの取組を通じ平成33年度末までにジェネリック医薬品の数量シェアが80%となるよう努めてまいります。
 
 
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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