Q.深谷顕史 議員(公明)
浸水被害を受けた川越市の障害者支援施設、初雁の家に入居していた40人のうち、当時施設にいた21人は、12日午後、身の危険を感じ自主避難を開始しました。しかし、避難所の事情により3カ所を転々とし、最終的には川越市総合福祉センター、オアシスの体育館で避難生活を送ることとなりました。大変な御苦労があったと伺っております。12月5日時点で10名が避難生活を送られています。
ところで、現在、川越市には福祉避難所が27カ所設置されていますが、浸水した特別養護老人ホームや初雁の家も含めて、このうち12カ所がハザードマップで浸水区域に入っています。この指定については、全般的な見直しの必要があると思います。また、オアシスは川越市の避難所に指定されていませんので、避難生活を送っている方々は、県発表の避難者数には入りません。ここは福祉避難所でも一般の避難所でもない、これが理由です。
初雁の家の施設職員の方にお話を伺いました。「自閉症などの障害がある入居者は、慣れない環境下に置かれ、変化に対応し切れず、大きな不安とストレスを抱えている。また、職員は泥だらけになりながら施設の復旧作業を進めつつ当直での見守りを行うなど、大変に大きな負担がかかっている」とおっしゃっていました。しかし、苦難に負けず懸命に前を向く姿に胸を打たれました。
一方、福祉避難所を利用するには、まずは地域の避難所に避難しなければなりません。福祉避難所が開設された後、保健師から個別に指示を受けた人だけが福祉避難所を利用できます。仮に早期に福祉避難所が開設されたとしても、直接行くことはできません。しかし、その特性ゆえに、地域の避難所に行くことが難しいのが自閉症などの障害がある方々です。御家族も周りの目が気になり、二の足を踏んでしまう現実があります。
そこで、以下4点について、福祉部長にお伺いいたします。
1点目に、福祉避難所の指定について、水害リスクを考慮した見直しが必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。
2点目に、福祉避難所となる施設には元々の入居者がおり、集団での受入れが厳しいものと思われます。今回を教訓として、集団での受入体制の構築が急務です。今後どう改善していくのか、御所見をお伺いいたします。
3点目に、初雁の家の施設復旧にはまだまだ時間がかかります。移転を検討されているとも伺っています。入居者を自宅で引き取られている御家族は、今後の見通しがつかない中、限界が近づいております。集団で受け入れられる施設がない中、大型の福祉仮設住宅の整備や既存の川越市の施設を改修して一時使用するなどの検討もしていただいてきましたが、一刻も早い対応が待たれます。初雁の家は、幾多の反対運動を乗り越え、設立まで7年かかり、1985年に設立されました。施設が水害リスクの高い川沿いに位置していた理由でもあります。こうした背景を踏まえ、私は、政治の責任において今後の施設の将来、そして入居者の方々の未来をあらゆる角度から最大限に支援していくべきと考えます。現在の本県における支援の状況について、お伺いいたします。
4点目に、障害者の特性を考慮し、避難する際は最初から福祉避難所に避難することはできないのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
A.知久清志 福祉部長
まず、「水害リスクを考慮した指定の見直し」についてでございます。
福祉避難所は災害時に備え、災害対策基本法に基づき、一般の避難所と同様に市町村長が指定する指定避難所の一つです。
指定に当たっては、国の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」を踏まえ、対象となる施設がバリアフリー化していることや、施設自体の安全性が確保されていることが求められます。
市町村では、地震や土砂災害のほか、水害時の安全性の確保も念頭に福祉避難所の指定を行ってきましたが、今回の水害を踏まえますと、施設が浸水想定区域内にあるかどうか、これまで以上に留意する必要があります。
このため、市町村に対して、現状の福祉避難所の立地について再度検証するとともに、今後の指定に当たって様々な災害リスクをより一層考慮するよう働き掛けてまいります。
次に、「集団での受け入れ体制の構築が急務である。今後、どう改善していくのか」についてでございます。
施設では、非常災害時の計画を策定し、災害時にはあらかじめ定められた避難所に入所者を一時的に避難させることとなっています。
今回の災害では、施設が床上浸水したことから、施設の復旧工事が終わるまで入所者が施設に戻れず、避難が長期に及ぶことになりました。
しかしながら、入所者が長期に避難する場合まで考慮した計画となっていなかったため、落ち着いた避難先の確保に時間を要しました。
このようなことから、今後は、施設に対し、避難が長期に及ぶことも想定し、事前に入所者の受入先の確保について市町村や事業者団体と連携し検討するよう指導してまいります。
県といたしましては、入所者がまとまって避難できる場所が確保できないケースも想定されることから、事業者団体の協力を求め、入所者を分散して他施設に受け入れられる体制の構築を推進してまいります。
次に、「初雁の家に対する県の支援状況はどうか」についてでございます。
初雁の家に対する復旧支援につきましては、中核市として施設を所管する川越市が、施設の意向を確認しながら進めているところです。
県といたしましては、被災施設の応援のため、事業者団体などと協力して埼玉県災害派遣福祉チームDWATを派遣し、避難している利用者の食事や入浴に対し応急的な支援を行いました。
また、初雁の家から事業者団体である埼玉県発達障害福祉協会に対し、他の入所施設に分散して受け入れてほしいとの要望がありましたので、県も協力して調整を進めているところです。
今後も、川越市や事業者団体と連携し、県としてできる限りの支援を行ってまいります。
次に、「障害者の特性を考慮し、最初から福祉避難所に避難することはできないのか」についてでございます。
国のガイドラインでは、災害が起きた時は、まずは一般の避難所に避難し、そこで保健師などが福祉避難所に移ることが適当と判断した障害者などに福祉避難所へ避難していただくこととされております。
福祉避難所は、災害の状況に応じて開設され、その受入れ人数は限られているため、混乱を避け機能を十分に発揮させるためには、原則どおりガイドラインに基づく対応を図ることが基本と考えております。
しかしながら、避難する障害者の状態は様々であり、また地理的な状況などにより、直接福祉避難所へ避難することが必要な場合も考えられます。
県といたしましては、市町村に対して、ガイドラインを基本としつつも、平時から特別な配慮が必要な方の把握に努め、地域の実情に応じた、よりきめ細かで適切な対応を図るよう働き掛けてまいります。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。