精神障害者福祉型訪問支援強化モデル事業について

Q.権守幸男 議員(公明)

精神障害者が安心して自分らしい生活を送ることができるようにすることは重要です。本県は、これまで精神障害者に対応した地域包括ケアシステムの構築に向けて、保健所圏域ごとに保健、医療、福祉の関係者による協議の場を設置し、精神障害者の地域移行などについて協議するとともに、地域包括ケアを担う人材育成のため、市町村職員や医療・福祉従事者向けに研修を行っています。
この事業は、医療につながっていなかったりする精神障害者を対象に、医師や精神保健福祉士、精神障害当事者のスタッフ、いわゆるピュアスタッフなど多種職の支援者が精神障害者やその家族を訪問し、相談や助言を行いながら医療や社会福祉サービスにつなげて地域生活を支えるものです。状況に応じて、きめ細やかな支援を行っていると伺っています。
そこで、福祉部長に伺います。
まず、今春以降、コロナ禍の中ではどのように取り組まれたのか。また、アウトリーチ支援を行う上で家族の協力は重要と考えます。家族との人間関係を築くに当たり、どのように取り組まれているのか。併せて、本県がこれまで取り組んだモデル事業の成果や課題は何であるか。それらを踏まえて、モデル事業実施後の方針をどのようにお考えなのか、福祉部長の見解をお聞きします。
 

A.山崎達也 福祉部長

まず、「今春以降、コロナ禍の中でどのように取り組んだのか」についてでございます。
アウトリーチ支援は、医療や福祉サービスにつながらないなど難しい課題を抱えたケースを中心に、多職種のスタッフが精神障害者の自宅を訪問し、専門的・継続的な支援を行うものです。
コロナ禍においても感染予防に十分留意しながら、可能な限り訪問支援を基本としてまいりましたが、感染拡大期には面会への抵抗が強い利用者がかなりの割合に上り、そうした方々には電話による支援を行ってまいりました。
電話の場合、アウトリーチの特色を生かせませんが、生活上・健康上のアドバイスを行いながら支援を継続し、現状ではほとんどの方について訪問支援を再開しています。
次に、「家族との人間関係を築くに当たり、どのように取り組んでいるのか」についてです。
利用者の中には、自らの意思で医療機関の受診や服薬、周囲との接触を拒む方もいらっしゃいます。
こうしたケースで御本人の心を開いていくためには、家族の協力が欠かせません。
家族との信頼関係を築くため、しっかりコミュニケーションをとり、支援の方向性について共通理解を図りながら、「家族とともに課題の解決に臨む」というスタンスで取り組んでいます。
次に、「モデル事業の成果や課題」についてでございます。
アウトリーチ支援は、県のモデル事業として、平成30年度に鴻巣保健所管内で取組を開始し、令和元年度は加須保健所管内に対象を拡大しました。
2カ年度で86人の利用者に対し1,250回の訪問支援を実施し、このうち35人については、医療や福祉サービスにつながるなどの成果により生活が安定したことから、支援を終了いたしました。
現在は、昨年度から支援を継続している方を含め、50人を対象に支援を行っています。
一方、課題としては、医療機関や行政機関などの関係職員と連携する際、他の機関が担っている役割についての理解不足などから、連携がスムーズに進まないケースもございます。
精神障害者のアウトリーチ支援に当たっては、関係機関の協力による地域包括ケアシステムの構築が重要となります。
議員からお話しのありました、各保健所ごとに設置している協議の場や地域包括ケアを支える人材育成のための研修会などを通じて、今後とも地域における連携体制の強化に努めてまいります。
最後に、「モデル事業実施後の方針」についてでございます。
今年度からは、モデル事業の対象エリアである県央・利根圏域に東松山保健所管内を加え、また、新たに南部の圏域をモデル事業の対象として、アウトリーチによる支援の効果を検証したいと考えております。
異なる地域での検証を行い、その結果も踏まえて今後の事業展開を検討してまいります。
 
 
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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