地球環境問題への挑戦 – 再生可能エネルギーの拡大

Q.西山淳次 議員(公明)

CO2を排出しない再生可能エネルギーをどう拡大していくかは、自治体にとっても重要な政策課題です。本県は「晴れの国」とも言われ晴天率日本一なので、その一番手は当然ながら太陽光発電でしょう。山林を切り開いてのメガソーラー設置は安易に行うべきではありませんが、災害時の停電対策としても、まずは住宅用の太陽光発電の更なる拡大が望まれます。本県内の戸建て住宅は約170万戸と言われ、うち太陽光発電を備えた住宅は約16万戸と推計されます。拡大余地がまだまだあると思いますが、どのようにして戸建て住宅への太陽光発電設置を増やしていくのか、まず伺います。
併せて、太陽光発電に伴う課題の一つであるパネルのリサイクルについて、本県は独自の検討を進めていますが、どこまで進んでいるのかもお答えください。
次に、県内事業者への再エネ普及支援について伺います。
既にビジネスの世界では、再生可能エネルギーの使用が大きな潮流になりつつあります。日本を代表するような大企業50社が再エネ調達100%を目指す国際的取組、RE100(再生可能エネルギー100%)に加盟しています。米アップル社のように、自社製品のみならず部品供給メーカーにまで再生可能エネルギー100%を要求する時代に入ってまいりました。本県内の事業者にもこの流れは当然及んでいくと思われますが、本県の、特に中小企業の再生可能エネルギー普及拡大に対してどのような支援を講じていくのか伺います。

A.大野元裕 知事

どのように戸建て住宅への太陽光発電設置を増やしていくのか、についてでございます。
太陽光発電は、環境負荷の軽減や光熱費の抑制、さらには災害における電源確保という観点からも有用です。
本県は、快晴日数日本一、戸建て住宅数が全国第2位という特長を生かし、住宅用太陽光発電の普及に努めております。
新築戸建て住宅については、国が2030年までに新築住宅の平均で「ゼロ・エネルギー・ハウス」いわゆるZEHの実現を目指すとしており、着実に太陽光発電の設置が進んでいくものと考えております。
一方、既存の戸建て住宅に設置を進めることが課題となると思います。
太陽光発電は、蓄電池と組み合わせることにより、非常用電源としての効果がより高まります。
県では、平成26年度から家庭用蓄電池の導入を支援をしております。
今年度の補助実績1,090件のうち41%は蓄電池と太陽光発電を同時に設置をしており、太陽光発電の拡大にもつながっております。
一方、太陽光発電設置後の維持管理などに不安を持つ方がおられることも事実であります。
このため、平成28年度にはパネルメーカーと、昨年6月には埼玉県電気工事工業組合と協定を結び、住宅用太陽光発電の設置や利用に関わる相談体制を整えました。
今後も太陽光発電の様々な有用性を県民に周知し、パネルメーカーや電気工事業者などと連携しながら、住宅用太陽光発電の普及に努めると共に、仮想発電所やスマート・グリッドの拡充と並行したまちづくりとの連携についても検討したいと思います。
次に、太陽光パネルのリサイクルについてであります。
国の推計によれば、太陽光パネルは2030年代後半に製品寿命などにより大量の排出が見込まれており、資源としての循環利用に向けた対策が不可欠であります。
太陽光パネルのリサイクルには、パネルからガラスなどを分離し、破砕する処理が必要となります。
令和元年度から県環境科学国際センターにおいて行った処理技術の実証実験などによって、現在の技術水準でも、こうした処理が可能なことが分かりました。
実際に県内には、リサイクルに向けた処理拠点を整備する事業者が出てきております。
大量に排出される太陽光パネルを資源として循環利用するには、使えるパネルのリユースやリサイクル品の利用先の確保、効率のよい回収等、乗り越えるべき課題があります。
このため、回収やリサイクル、リユースに関わるステークホルダーが処理体制の構築に向けて課題を協議する場として、昨年「太陽電池モジュールリサイクル協議会」を設置し、現在までに、31の事業者に参画をいただいております。
また、課題解決に向けて県は、今年度から協議会の協力を得て、環境省が実施する効率的な回収ルートの構築に向けての実証実験に参加・協力しております。
今後もこの協議会を通じ、太陽光パネルのリサイクルに向けた取組を進めてまいります。
次に、「県内事業者への再エネ普及支援について」でございます。
議員お話しのとおり、事業者はサプライチェーン全体を通して脱炭素化を始めとする環境配慮を求められております。
現に嵐山町における太陽インキ製造株式会社はアップル社からの求めに応じ、太陽光発電設備を導入することで自らの事業活動で生じたCO2排出量をオフセットしています。
あるいはファンドや金融機関からの資金調達においても再エネ指標がESG投資の一環として求められる時代になりつつあります。
他方、中小企業は資金面の制約やエネルギーの専門家がいないなどの課題があり、CO2排出量削減への対応に苦慮しています。
このような状況を踏まえ、県は中小企業等を対象に設備導入に関わる補助や低金利な融資により支援を行っています。
また、昨年8月に東京電力エナジーパートナー株式会社と連携し、県内の住宅用太陽光発電の環境価値を活用した全国初となる実質CO2フリーの埼玉県産電力メニュー「彩の国ふるさとでんき」を創設しました。
この電力メニューにより県内で生まれる再生可能エネルギーは、環境対策に積極的に取り組む県内企業に提供されています。
今後も、様々な手法により県内の中小企業の再生可能エネルギーの普及拡大を支援してまいります。

上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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