Q.権守幸男 議員(公明)
公明党は、今年の4月から3か月間、山口那津男党代表を先頭に、我々地方議員合わせて全国約3,000人の議員が地域に入り、介護、防災・減災、子育て、中小企業の4分野をテーマにアンケートを行う100万人訪問調査運動に取り組みました。これがアンケートの用紙の一部でございます。ちょっと小さいですけれども、これが5種類あります。集計の結果、国民、県民の皆様の多くが、生活への不安を抱えていることや多様なニーズがあることが明らかとなりました。
今回の質問では、100万人訪問調査運動の集計結果の中から、地域包括ケアシステムについてと認知症サポーターについて、2つに絞り取り上げます。
集計結果の中で、私が特に注目した数字は、「介護に関して知っていること」の問いに対し、「地域包括ケアシステムを知っている」と回答した方が、実に44.5%だったことです。2人に1人が知らないということが判明いたしました。政策の重要性に比べ、その認知度はまだまだ低いようです。県民へのこの制度の浸透、周知が何より必要です。
地域包括ケアシステムは、2012年の介護保険法の改正において考え方が初めて打ち出され、翌年の2013年に地域包括ケアシステムという言葉が法律に明記されました。
また、アンケートでわかったことですが、地域包括ケアシステムと地域包括支援センターを混同している人たちが多くいらっしゃいました。介護サービスの利用者や、これから介護サービスを利用する人たちにとって、名称から浮かぶイメージと中身が一致していません。この名称や中身について、県民にまだまだ伝わっていないように感じます。
地域包括ケアシステムは、専門職だけの世界ではなく、正に地域ぐるみの取組が不可欠であります。本県は県内の市町村における地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいるところですが、そのためには地域包括ケアシステムという名称と中身が何であるかを県民にもっと知ってもらうことが必要であると考えます。
県内の市町村によっては、愛称を付けるなどして工夫しているところもあります。例えば、秩父圏域では、「ちちぶいきあいシステム」という愛称を付けています。そこで県民に対し、地域包括ケアシステムの重要性を訴える効果的な広報活動、例えば自治会で鑑賞できるDVDの作成やポスターの掲示などを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、そもそも地域包括ケアシステムという言葉は、一般の方にとってなじみにくいのではと感じます。もっと分かりやすく、親しみのある名称に変更することを国へ要望するべきと考えますが、併せて知事の見解をお聞きいたします。
A.上田清司 知事
まず、「『地域包括ケアシステム』の周知について」のお尋ねのうち、効果的な広報活動についてでございます。
地域包括ケアシステムは医療や介護の専門職だけの世界でなく、介護予防や生活支援など地域ぐるみの取組が不可欠という議員の考え方に賛同いたします。
地域ぐるみの活動を活性化させるためには地域包括ケアシステムとはどういうものかを分かりやすく広報し、住民の理解を深めていくことが重要でございます。
平成29年度に全市町村を対象に実施しましたヒアリング調査でも、約半数の市町村から住民の理解を深めるための広報ツールを作成するよう県に要望がございました。
そこで、平成30年度に住民向けの啓発アニメを制作し市町村に配布することにいたしました。
現在制作中のアニメは地域包括ケアシステム全体の内容を紹介するとともに、住民の活動事例を盛り込みながら介護予防や生活支援の地域ぐるみの活動がイメージしやすいものにしております。
高齢者にも分かりやすいものになるよう、絵のタッチや話のテンポなどにも工夫をしながら制作を進めていきたいと思っております。
制作したアニメは県や市町村が行う出前講座やセミナーなどで積極的に活用し、地域包括ケアシステムについて住民に丁寧に説明することで理解を深めていきたいと考えております。
また、ホームページにも掲載し誰でも気軽に見ることができるようにいたします。
今後も議員からの御提案も含め実施主体である市町村と協力しながら、効果的な広報の在り方を探ってまいります。
次に、分かりやすく親しみのある名称に変更することを国に要望するべきについてでございます。
議員お話しのとおり、地域包括ケアシステムは「システム」という言葉が機械的なものをイメージして、住民の皆様にとってはなじめないのではないかと、私なども当初思ったこともございました。
しかしながら、「地域包括ケアシステム」の名称は、平成25年に施行された「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」に明記されておりますので、名称変更というのは、法改正も必要になるかもしれません。
また、議員御紹介の調査結果にあるように、およそ半数の方が「地域包括ケアシステム」という名称を既に知っておられることも踏まえますと、この段階で名称変更は影響が大きいのではないかというふうに思っております。
住民の皆様への周知もゼロからのスタートということになるかもしれません。
そのため、まずは地域包括ケアシステムという名称の認知度を更に高める努力をしていくことが第一に考えることではないかと思っています。
同時に、例えば全く新しい名称でなくても「システム」というなじみにくい言葉を外して「地域包括ケア」というような形で、略称で、できるだけ使っていくという方法などもあるのかなと現在考えております。
いずれにしても、市町村の現場の皆様の御意見もよく伺って、こうしたことについても考えていきたいと考えております。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。