Q.安藤友貴 議員(公明)
先ほどお話しした特性のある子供たちだけでなく、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因、背景などにより、学校に行けなくなる子供たちも少なくありません。現在、小・中・高の不登校児童生徒が急増し、全国で約30万人となりました。子供たちが不登校に至る理由には、勉強が分からないといった理由のほか、人間関係や身体の不調などが不登校のきっかけであることが、文部科学省の調査結果で指摘され分かっています。
文科省が今年の3月31日に、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」が取りまとめられました。学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の設置促進、校内教育支援センター、いわゆるスペシャルサポートルームの設置など環境づくりのほか、チーム学校と銘打ち、各種連携によって支援をしていくことなど、具体的に実効性を高める取組が明記されています。
不登校の児童生徒への支援に携わる方からお話を聞きました。「子供たちは学習意欲もあり、特に探求型の学習ではとても前向きです。現在の学校のルール、理詰めの学習に合わないお子さんもいます。学習のやり方、教え方で大きく変わっていくと思います」とお聞きいたしました。
ここで、質問をいたします。
本県では、不登校生徒支援教室「いっぽ」を開設し、モデル事業として行っていますが、学習のやり方、教え方などの工夫はなされているのか、お聞きいたします。加えて、これまでの取組内容とその成果について、教育長、お答えください。
また、COCOLOプランにもあるように、学びの多様化学校いわゆる不登校特例校、スペシャルサポートルーム等の設置は重要です。各地域に推進していくべきと私は考えています。
それを前提にお話をいたしますが、保護者の方や関係者の方に様々お話を聞いたり、調査すればするほど、児童生徒一人一人の必要としていることが異なります。一つが正解ではなく、学びの多様化学校、そしてスペシャルサポートルームの設置をした後の対応、時代に合わせた柔軟にしていく対応、そういったものを変化させていくことが私は求められると思います。
そのためにも、不登校児童生徒、保護者の支援拠点である教育支援センターの機能強化は重要です。この拠点から、一人一人に合わせた対応の方向性を展開できるかなと思っています。
お聞きいたします。県として、教育支援センターの機能強化に向けた支援をどうお考えか、教育長にお聞きいたします。
A.日吉亨 教育長
まず、「不登校生徒支援教室「いっぽ」では、学習のやり方、教え方などの工夫はなされているのか」についてでございます。
不登校生徒支援教室「いっぽ」では、不登校の中学生に対する「多様な学びの場」として、効果的な教育活動の実践研究を行っているところです。
この実践研究では、生徒の自立心を養うために、教室の利用計画を生徒自らが立て、それに従って教室を利用し、自分で課題に取り組む時間を設定させ、達成感につなげていくなど、学び方の工夫を行っております。
また、教員などが、生徒自らやりたいと思うことに寄り添って信頼関係を築くことで、例えば、特定の教科のみに興味があった生徒が、他の教科にも取り組む意欲を引き出すような教え方の工夫をしております。
次に、「これまでの取組内容とその成果」についてでございます。
「いっぽ」においては、これまで、生徒のペースに合わせた個別学習や、図書館・博物館などと連携した体験活動、不登校経験のある高校卒業生との交流会の実施など様々な取組を積み重ねているところです。
こうした取組により、例えば、不登校経験者との交流では、直接話を聞いて安心できたとして、学習意欲の向上にもつながり、令和4年度には通級していた中学3年生5名が全員高校に進学するなどの成果が出ております。
県では「いっぽ」の成果を踏まえ、現在、狭山緑陽高校などの多部制定時制高校と地元の教育支援センターとが連携して不登校児童生徒への支援を行う取組へと広げているところです。
次に、「県として教育支援センターの機能強化に向けた支援の考え」についてでございます。
学校に通うのが困難な不登校児童生徒の「多様な学びの場」として、無償で利用できる身近な市町村教育支援センターが果たす役割は大きいと考えます。
先日、私は吉川市の教育支援センターを訪問し、地域と連携した様々な体験活動や保護者との定期面談などを積極的に行っている様子をお伺いし、教育支援センターが、子供たちの居場所や保護者を支える場として重要な役割を担っていると感じました。
県といたしましては、今年度新たに設置した県と市町村の協議会の場で、「いっぽ」の成果や教育支援センターの好事例を共有するとともに、市町村の課題などを丁寧に聴取し、教育支援センターの機能強化を支援してまいります。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。