Q.西山淳次議員(公明)
我が党は、教育こそ未来の地域を、社会を決定付け、一人ひとりの児童生徒を幸福に導く最重要な営みと位置付けています。だからこそ我が党は、教員の過剰な超過勤務を大変深刻な問題と捉え、その解消に向けた教育局の取組を促すとともに、具体的な提案も行ってまいりました。
文科省が本年1月に制定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」は、上限の目安時間として、1カ月の超過勤務を45時間以内に、1年間の超過勤務を360時間以内と定めました。労働基準法に定める時間外勤務の上限と同じです。現状に照らしてみると、文科省は随分と思い切った数字を打ち出したなと感じます。
例えば平成28年の本県勤務状況調査では、土日を除く1カ月で超過勤務が45時間を超える者は、小学校で78.5%、中学校で81.2%、高校で54.2%、特別支援学校で35.9%です。小中学校においては、大半の教職員がガイドラインに反することになります。さらに同調査では、脳や心臓疾患の発症に影響を与える可能性が強くなる月80時間超の超超過勤務者が小学校で23.4%、中学校で31.6%に上る深刻な実態が明らかになっています。この実態をガイドラインが求める45時間以内に収めることは、現状では困難かもしれません。
しかし、私は断固やるべきと考えます。1月25日発表された中教審答申は、学校における働き方改革について、以下のように述べてもいます。「我々の社会が、子供たちを最前線で支える教師たちがこれからも自らの時間を犠牲にして長時間勤務を続けていくことを望むのか」、それとも「心身ともに健康にその専門性を十二分に発揮して質の高い授業や教育活動を担っていくことを望むのか、その選択が問われている」と。私は、この指摘に全く同感であります。
本県教育委員会も、教職員の働き方改革に向けて取組を開始しています。新年度予算案には、勤務管理システムの導入をはじめ業務の改善、効率化、外部人材の活用などが盛り込まれました。我が党は、これらの取組を評価し、期待をしております。頑張っていただきたい。
しかし、これだけではガイドラインが定める45時間以内を達成するのは恐らく困難でしょう。今後、更なる取組が必要です。教育長は、どうやって月45時間以内を達成するおつもりですか。しゃくし定規に、とにかく減らせばよいというものではありません。学校で残業しなくても、家に仕事を持ち帰っているのでは意味がありません。難しい課題です。
そこで、やはり同じ中教審答申に興味深い指摘がされております。学校における取組として、「校長は、校内の分担を見直すとともに、自らの権限と責任で、学校としての伝統だからとして続いているが、必ずしも適切とは言えない業務又は本来は家庭や地域社会が担うべき業務を大胆に削減」とあります。そして、その例として夏休みのプール指導、部活動の勝利至上主義の早朝練習の指導、内発的な研究意欲がない形式的な研究指定校としての業務、運動会などの過剰な準備などを挙げております。多くの教職員が内心思っていても、なかなか改善できないことを校長が自らの権限と責任で行う。重要な提言です。
しかし、校長一人に責任を負わせるのは無理でしょう。保護者や地域住民の反発もあるかもしれません。そこで、教育委員会の支援が必要です。志と勇気ある校長の改革をバックアップし、保護者や地域住民の理解が進むように支援するのが教育委員会の責務です。こうした点を含めて、今後、月45時間以内の達成に向けてどのように取り組んでいくお考えか、教育長に伺います。
A.小松弥生 教育長
議員御指摘のとおり、本県における教職員の在校時間は長時間化しており、その解消は喫緊の課題でございます。
そこで、平成31年度予算案では、スクール・サポート・スタッフ、部活動指導員及び勤務管理システムといった働き方改革を進めるための予算を計上させていただいているところでございます。
しかしながら、教員の勤務時間の縮減のためには、その他考えられる、あらゆる手立てを総動員する必要があると考えております。
主なものを挙げさせていただきます。
まず、各学校現場において業務の改善や効率化を行うための、ICTを活用した校務支援システムの拡充の促進や協調学習をはじめとする教材や指導法の共有化に関する支援を引き続き行います。
また、現在、国の委託事業として伊奈町で研究している「学校における業務改善加速事業」などの優良事例を、他の市町村や県立学校に提示し、横展開をしてまいります。
次に、学校の業務を外から圧迫しているものへの対応です。例えば、県からの調査依頼、研修、会議など、こういったものを縮減する、そして効率化していくこと、また、各種団体の主催行事の縮減の依頼など、学校の外からの負担を軽減してまいります。
さらに、地域や保護者の理解をいただくことも不可欠でございます。
コミュニティ・スクールや学校応援団等の取組を強化し、地域で担える業務は地域にお願いできるよう、工夫をしてまいります。
また、本年度末を目途に取りまとめております「学校における働き方改革基本方針」においても、県教育委員会としての姿勢を明確に示し、県民の皆様に呼び掛けをおこなってまいります。
これらのことにより、働き方改革に現場の最前線で取り組む校長をはじめとする管理職を、県教育委員会としてしっかりとバックアップし、県全体で学校における働き方改革を全力で推進してまいります。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。