Q.西山淳次議員(公明)
昨年の代表質問でも、私は、SDGs、Sustainable Development Goals = 持続可能な開発目標について取り上げました。SDGsとは、持続可能な世界の達成を目指す17項目からなる国際目標であり、2015年の国連サミットで採択をされました。気候変動などの地球的課題に対し、先進国と途上国とを問わず、各国が国内政策として取り組むよう求めています。この1年間で、SDGsという言葉自体やその意味するところも大分理解が進んできたように思います。
昨年、代表質問で私がSDGsに対する認識と今後の県政にどうSDGsを取り入れていくのかを尋ねたのに対し、知事は、「SDGsの理念に共感を覚える」としたものの、「SDGsが掲げる17の目標は、本県の取組と重なるものも多く、その理念は県政に取り込まれていると考える」と答弁され、特段、SDGsを意識して県の取組を進めるとはお答えになりませんでした。
しかし、質問から1年がたち、SDGsに対する社会の認識が格段に高まってまいりました。私は、本県としてもっと積極的に、意識的にSDGsを取り入れるべきと考えます。先ほどの質問で、プラスチックごみの削減について、「かながわプラごみゼロ宣言」を紹介しましたが、神奈川県は、こうした活動に「SDGs未来都市神奈川県」とのロゴマークを使っています。県民への意識啓発とともに、県のブランド力向上にも一役買っているように感じております。
私は、SDGs = 持続可能な開発というと、私の地元所沢市にも関わる三富地区の新田開発を思い浮かべます。柳沢吉保公によって江戸時代に行われた新田開発は、雑木林の落ち葉を堆肥に使う資源循環的な農法で、300年の長きにわたってその有効性を保ち続けてきました。正に、現代のSDGs大賞を贈りたいような取組だと思います。技術文明の発達は、これからもとどまることを知らないでしょう。だからこそ、それをコントロールし、地球環境を守り、人間の幸せにつなげる英知がますます重要になります。その意識を啓発し涵養するためにも、SDGsに対して本県はもっと積極的に取り組んでいくべきと考えます。知事の御所見を伺います。
A.上田清司 知事
かねてから西山議員のSDGs導入についての強い関心と意欲に私も啓発を受けております。
議員からは、持続可能な開発モデルとして三富新田のお話を伺いました。
環境と農業を調和させた落ち葉堆肥農法は、SDGsを先取りしたものといえ、こうした取組が埼玉から生まれたことに私も誇りを感じます。
持続可能性に着目した本県ゆかりの先人の取組として、本多静六博士のつくった明治神宮の森も挙げられます。
本多博士は、「神社の森は永遠に続く森でなければならない」との考え方から、人工的な杉林ではなく、自然に近い広葉樹の混合林を創りました。
100年たった今、明治神宮は神々しく自然豊かな森に彩られています。
このように100年先を見通したグランドデザインを描いた先人の知恵に学びつつ、これからの100年を構想することが私たちの使命だと考えます。
SDGsは17の目標があり、環境だけではなく貧困、健康、教育など社会の様々な分野の持続可能性を高めることを目指しています。
高齢化や格差などの問題を克服し、将来にわたり安心・安全で活力ある埼玉をつくる上でSDGsから学ぶべき点は大いにあると考えます。
こうした思いから私は平成31年度の予算編成に当たり、「持続可能な埼玉づくり」という視点を重視しました。
持続可能な社会をつくる上で最も重要なのは人づくりだと私は考えます。
子供たちが一人も取り残されることなく温かい愛情に包まれて育ち、将来の社会を担う力をつけることが社会の持続性につながります。
このため、子ども食堂など様々な子供の居場所を県内全域に拡大します。貧困の連鎖を解消し、誰にとってもチャンスの多い社会にしていきます。
また、人生100年時代にふさわしい持続可能な社会保障制度に変えていくことも喫緊の課題です。
社会保障に関しては地方自治体にできることには限りはありますが、まずは健康長寿の実現にしっかり取り組みます。
たばこ税収入の5%相当額を活用して新たに「健康づくり安心基金」をつくり、受動喫煙防止対策など健康づくりの取組を強化いたします。
地球全体の持続可能性を考えた場合、気候変動対策は最も優先度の高い課題の一つです。
本県は昨年12月に、環境科学国際センターに気候変動に関する情報を収集・発信する地域気候変動適応センターを設置いたしました。
来年度はセンターを更にパワーアップし、民間と連携した研究や情報発信力を強化してまいります。
このように、来年度の予算案では様々な分野においてSDGsを意識した取組を実施することといたしました。
SDGsは必ずしも明確な数値目標を掲げておらず、それぞれの国や地域が自らの取組や目標を設定する、いわゆるローカルSDGsの展開が重要になります。
本県も貧困の連鎖の解消やマイクロプラスチック対策などSDGsの理念を深掘りした具体的な取組を進めてまいります。
具体的には17の指標について、計測しやすい、達成しやすいものを埼玉の分野で特化することができるかどうか、そうしたことを検討させていただきたいと思っております。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。