養介護施設従事者等による高齢者虐待の対応について

Q.安藤友貴 議員(公明)

高齢化に伴い介護福祉サービスのニーズが高まり、有料老人ホームやサ高住等が増加しています。その中で、養介護施設従事者等による高齢者虐待が全国的に増加しています。本県でも、令和3年度の養護者による通報件数は1,798件、養介護施設従事者等による通報件数は234件、合わせて2,032件となり、5年前と比較すると1.3倍、深刻な状況です。
虐待には身体的、心理的、経済的虐待などが上げられますが、これまで報道などで明らかになったケースは、圧倒的に身体的虐待が大半を占めています。しかし、証拠や証明がしやすいのが身体的虐待のため、データ的には分からないと私は思います。
発生を未然に防ぐことが何よりも一番重要ですが、そのためにはやはり人材不足の解消、そして介護職員の処遇改善、これを進めていくことが必要です。また、施設におけるサービス提供時の基準や人員配置における指導強化も行うべきです。
私は、職員配置の手薄な施設の方が虐待が発生しやすいのではないかと考えています。職員の配置状況と虐待発生の関連性を調査することができないか、福祉部長にお聞きいたします。
また、虐待の通報があった場合、大半は市町村で対応します。虐待が急増している状況の中、モニタリングや指導まで市町村職員だけでは限界があると思います。施設に対し、適切な対応、指導等を行うため、県担当部局における施設虐待対応専門職の配置ができないか、福祉部長にお聞きいたします。
また、国が推進している都道府県における高齢者虐待防止対応のための体制整備等の取組20項目の中で、本県は80パーセント以上実施しています。現段階で実施していない項目の中に、看護職員研修があります。高齢者虐待を未然に防ぐためにもこの研修は重要だと思いますが、いかがでしょうか。福祉部長、答弁願います。

A.金子直史 福祉部長

議員お話しのとおり、人手不足を解消し処遇改善を進めることは、より良い介護サービスの提供、ひいては虐待の未然防止につながるものと考えます。
県では、介護人材の確保については、介護未経験者への就労支援や、離職率の高い採用3年未満の職員を中心とした交流会の開催、本県が他の都道府県に先駆けて結成した介護の魅力PR隊による魅力発信等を行ってきたところです。
こうした取組により、国の調査では、令和3年度の県内の介護職員数は9万8,781人となっており、前年度と比較すると約1,000人増加しております。
介護職員の処遇改善については、平成24年度に処遇改善加算、令和元年度に特定処遇改善加算、令和4年10月にベースアップ等支援加算が設けられています。
こうした加算制度の活用を事業者に対して働き掛けるとともに、介護職員の給与を大幅に引き上げることができるよう、令和5年6月に国に対して要望を行っております。
また、人員配置については、有料老人ホーム等の設置届や変更届の提出時に加え、運営指導の際にも確認・指導を行っています。
特に、特別養護老人ホームなどの施設整備に当たっては、人員確保計画書を提出させ、具体的な採用方法や研修計画の審査も行っています。
お尋ねの職員配置と虐待の関連性を調査することにつきましては、虐待を未然に防止するには、虐待の発生要因を分析することも重要であると考えますので、実施について検討してまいります。
次に、施設虐待対応専門職の配置についてでございます。
養介護施設従事者等による高齢者虐待については、高齢者虐待防止法に基づき、虐待の通報等を受けた市町村が虐待対応の主体として、事実確認のための調査や虐待の認定などを行うこととされています。
全ての市町村には、県が養成した高齢者虐待対応専門員が配置されており、虐待対応の中心的な役割を担っております。
また、県にも虐待の対応を行う専門職がおり、市町村における対応の困難な事案などについて助言するほか、市町村とともに施設を訪問し現場の状況を踏まえて支援しているところです。
さらに、老人福祉法等に基づき、必要に応じて県と市町村が共同で養介護施設等に対し立入検査や運営指導も実施しております。
議員お話しの施設虐待対応専門職の配置につきましては、このように県の専門職などが必要に応じて施設を訪問していることから、県といたしましては、まずは、市町村の体制強化を支援し、しっかりと迅速に対応していただくことが重要と考えております。
そこで、今後は、事例検証を行うなど研修内容の充実を図ることで、市町村の虐待対応専門員の対応力のさらなる強化を図ってまいります。
あわせて、市町村や対応事案の状況により早めに相談の場を設けるなど、より一層丁寧に支援することで、養介護施設等における高齢者虐待の防止に向け、市町村と協力して取り組んでまいります。
次に、看護職員研修の実施についてでございます。
養介護施設の看護職員は、利用者の生活の場の中で、医療的な判断等を行い、医療的ケアの提供や医療機関等との連携などの役割を担っております。
そのため、高齢者虐待防止を進める上で、看護職員が高齢者の権利擁護に必要な援助等を行うための専門的知識や技術を習得することは、重要と考えます。
今後、関係機関等と調整し、看護職員研修の実施について検討してまいります。

上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。

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