Q.塩野正行 議員(公明)
コロナ禍による事業環境の悪化に対し、県は中小企業などへの資金繰り支援として昨年3月末まで当初3年間無利子、保証料ゼロの新型コロナウイルス感染症対応資金を実施しました。融資総額は1兆円を超えたと聞いております。過去最高の融資額であります。
ただ、融資を受けるにはかなりの時間と労力が必要になります。議場にいらっしゃる皆様もよく御承知のとおりであります。
融資を受けようとする事業者は、申込受付機関である商工会議所、商工会に融資申込書を持参します。そこで申し込みが適当と認められ、受付印が押された融資申込書を金融機関に持参いたします。その際、金融機関が必要とする書類も作成の上で持参をします。金融機関には納税証明書や確定申告書の写しなど、融資申込みに必要な書類だけでなく、事業内容や経営状況が分かる書類が求められることも多くあります。それらの書類を用意するだけでも大変ですが、書類に不備や不足があれば、その都度、金融機関に足を運ばなければなりません。
資金繰りが悪化した事業者は、速やかな融資実行を必要としています。県制度融資における電子申請の導入を急ぐべきと考えます。時間と労力を削減し、速やかな融資実行を可能にするために、県制度融資のデジタル化実現に向けた具体的な取組についてお答えください。
もう一つ、債務負担の軽減についても伺います。
過去最高の融資額になったということは、今後返済しなければならない額がそれだけ大きいということでもあります。中には、今後何があるか分からないので必要以上に融資を受けたという話も聞きました。過剰な債務負担を抱えているケースがあります。
そして、多くが据置期間を設定しております。県の新型コロナウイルス感染症対応資金は、融資期間が10年以内、据置期間は5年以内となっていますが、据置期間を長くすれば返済期間が短くなり、返済の負担が大きくなるため、多くの企業は1年以内で設定をしています。
既に返済の時期を迎えています。コロナ禍による経営悪化が続く中では、返済の余裕がない、あったとしてもこの先どうなるか分からない不安があります。コロナ前の経営状態に戻ってから返済を開始したいという切実な思いを抱えています。
県は、追加融資と合わせた対応を可能にしていますが、過剰債務のケースが見られるように、追加融資よりも債務負担の軽減を求めております。国は、債務の減免なども含めた支援策を検討し始めているようでもあります。県としても対策を検討すべきであると思います。
債務負担を軽減すべく、据置期間の延長に加え、返済期間の見直しなども含め、柔軟な対応をすべきであります。産業労働部長の答弁を求めます。
A.板東博之 産業労働部長
「県制度融資のデジタル化実現に向けた具体的な取り組み」についてでございます。
県ではこれまで、押印廃止や提出書類の簡素化を進めるとともに、市町村へのセーフティネット保証の認定に係る手続きを金融機関が代理申請で行えるようにするなど、運用面での見直しにより、融資実行の迅速化に取り組んでまいりました。
また、金融機関や信用保証協会などに対して、提出書類の簡素化・削減、融資審査の迅速化・短縮化を繰り返し要請してまいりました。
今後は、融資手続きのデジタル化を進めることで、事業者の融資申請における負担軽減と、融資審査の効率化を図り、融資実行までの期間をより短くしていくことが重要と考えております。
事業者が県の制度融資を利用するためには、商工団体における要件審査と金融機関における融資審査、また信用保証協会における保証審査を経る必要がございます。
そのため、商工団体、金融機関、信用保証協会と十分に調整を行いつつ、事務の流れをすりあわせ、制度融資手続きのデジタル化について検討を進めてまいります。
次に、「債務負担を軽減すべく据置期間の延長に加え、返済期間の見直しなど柔軟な対応をすべき」についてでございます。
県では、コロナ禍で売上などが減少した県内中小企業の資金繰りを支援するため、これまで融資利率の引下げ、融資限度額の拡大など、事業者負担の軽減や更なる要件緩和を図り、制度融資の充実に努めてまいりました。
この結果、令和3年の企業倒産件数は282件と、過去30年間では最少の件数となり、手元資金の支援について効果があったものと考えております。
一方で、据置期間が満了し、返済が始まったことなどから、資金繰りに懸念が生じている事業者も散見されます。
こうした事業者のために、返済負担の緩和につながる返済猶予や、毎月の返済額の削減につながる借換えなどの相談に柔軟に対応していただくよう、金融機関並びに信用保証協会に対し繰り返し要請を行ってまいりました。
また、令和4年度予算では、既存借入金の返済に苦慮する事業者の方が借換えにより返済期限を延長することで月々の返済負担を軽減できるよう「借換資金」の融資枠も十分に確保いたしました。
返済負担の緩和につながる融資期間の延長などの実施にあたっては、審査を行う金融機関や信用保証協会の理解や協力が不可欠でございます。
そのため、定期的に開催している金融機関や信用保証協会との意見交換会などの場において、債務の返済に苦しむ事業者に対して円滑な資金繰り支援等を行っていただくよう引き続き働きかけをしてまいります。
再Q.塩野正行 議員(公明)
後段の債務負担の軽減のところで、民主の田並さんもこの間、据置期間の延長について御質問されて、それについての答弁は承知をしております。その上で、更に返済期間の延長ということも含めて対応していただきたいという趣旨で質問させていただいたんですが、どうもちょっと私の聞き違いなのか、あるいは耳が悪くなったのか、明確な答弁がどうも聞き取れなかったように思いますので、返済期限、要は返済期間そのものの延長についても前向きに検討をするということなのかどうかですね、もう一度答弁をいただきたいというふうに思います。
特に、新型コロナウイルス感染症対応資金については、当初3年間は無利子で保証料もゼロということで設定をされておりますけれども、その期間が明ければ当然それは発生するわけです。ましてや、据置期間を長くしてしまえば、10年間の中で返済期間は短くなるわけですから、その据置期間だけを長くしても債務負担は減っていかないという趣旨で、返済期間そのものの延長も検討してもらいたいという趣旨で質問をしておりますので、是非、例えば無利子の期間が3年間、保証料ゼロの期間も3年間、そこも更に延長していただければ一番いいんですが、まずは返済期間の延長ということ、具体的にもう一度答弁いただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
再A.板東博之 産業労働部長
先ほどもお答えしたところでございますが、返済負担の緩和につながる返済猶予、こちらは据置期間を延長する等によりまして、今負担が厳しい企業さんの支払いを軽減する制度でございます。
また、借換えを行うということは、事実上返済期間を延ばすことによって毎月の負担額を減らすという制度でございます。
こちらについて、それぞれ個々の事業者の経営状況に応じてになります。
そこについては、一般の利用されている他の事業者との公平性も考慮しなければならないところでございますので、個々の事情に応じたうえで、金融機関並びに信用保証協会にしっかり丁寧な対応をしていただくように要請をしてまいりたい、そのように考えております。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。