9 飼い主亡き後のペット、多頭飼育問題について(知事)

Q.西山淳次 議員(公明)

本県における犬猫の殺処分数は、この20年間で劇的に減少しました。20年前の2002年には1万頭匹を超えていた殺処分数が、2022年には339頭匹になりました。この間の担当課各位の御努力に、改めて敬意を表します。
また、本県議会におきましても、不肖私が会長を務めます動物と共生する社会を推進する議員連盟には、45人の議員諸氏に御参加を頂き、本県の動物行政の後押しをさせていただいております。
そして、何より感謝したいのは、県内各地で不幸な犬猫を減らすために、自らの時間とお金を使って献身的に活動されているボランティアの皆様方です。私の知人にも、正に人生をささげていると言っても過言ではないような方々がおられます。避妊・去勢をした猫は数千匹に及ぶという方もいらっしゃいます。私は、こういう方に是非とも勲章を差し上げたいと思うものです。
さて、いよいよ殺処分ゼロを目指す本県にとって、現在、新たな課題が浮上しています。それは、飼い主亡き後のペットと、いわゆる多頭飼育の問題です。独り暮らしの高齢者が犬や猫を飼っている場合、御本人が病気で入院する、施設に入所する、あるいは亡くなってしまったとき、残されたペットをどうするかという問題が発生します。
また、しばしば悪質ブリーダーによる多頭飼育が崩壊し、悲惨な状況にある犬猫のレスキューがニュースとなっています。正に、不適切な多頭飼育は、動物虐待だけでなく、周辺の生活環境にも影響を及ぼし、もはや社会的問題と言えます。
商業目的ではない個人による多頭飼育の背景には、飼い主の経済的困窮や社会的孤立などが複雑に絡み合っている場合があります。飼い主が認知症や障害を抱えていて、避妊・去勢などをせず複数の猫を飼ったため、あっという間に数が増えてしまうケース。御近所との交流もなく、いわゆるごみ屋敷状態の中に飼い主と多数の猫が暮らしているケースもあると聞きます。
こうした場合には、飼い主に動物虐待の罰則を適用するだけでは、問題の解決には至りません。その対応に当たっては、動物愛護管理分野だけでなく、社会福祉、公衆衛生、警察、ボランティア、地域住民といった多くの機関、関係者が連携して取り組むことが有効であり、環境省も多頭飼育対策ガイドラインを作成し、社会福祉と動物愛護管理の多機関、多くの機関が連携した取組を推奨しています。また、飼い主に接する機会が多く、多頭飼育問題などを最初に探知する可能性が高い民生委員やケアマネジャーを対象に、多頭飼育問題に関する研修会の開催も有効だと考えます。
そこで、知事にお伺いします。本県は、条例で10頭以上の多頭飼育については届出を定めていますが、まず、本県内の多頭飼育の現状と多頭飼育の問題事例についてお伺いします。
次に、今後の対応として、多くの機関が連携して、飼い主亡き後のペット問題や多頭飼育問題に取り組んでいくことが重要と考えますが、知事の御所見を伺います。

A.大野元裕 知事

本県内の多頭飼育の現状と、多頭飼育の問題事例についてでございます。
県では、ペットとして犬猫を合計10頭以上飼育する場合に届出が必要であり、令和5年2月時点の届出数は347件となっております。
保健所などの助言により譲渡することで飼育数が減り、届出の対象から外れるケースがある一方、飼育数が10頭以上となり新たに届出されるケースもあり、累計での届出数は増加傾向にあります。
保健所や動物指導センターでは、届出のあった飼育先を定期的に訪問をし、飼育数が増えたり、飼育環境が悪化しないよう、見守りと必要に応じた助言・指導を行っております。
また、近隣から鳴き声や悪臭などの通報を端緒として、多頭飼育事案が発覚するケースもあり、中には、犬猫の数が増え過ぎて、飼い主自身では改善できないレベルまで飼育状況が悪化している例もございます。
こうした過度の多頭飼育事例では、ボランティアの協力で新しい譲渡先を見つけることが解決の糸口となりますが、ペットを手放すことを嫌がる飼い主も多く、その説得などに苦慮するといった問題事例もございます。
次に、今後の対応として多くの機関が連携して飼い主亡き後のペット問題や多頭飼育問題に取り組むことについてであります。
議員御指摘のとおり、多頭飼育問題の背景には飼い主の経済的困窮や、社会的孤立といった要素が複雑に絡み合い、解決が困難なケースも見受けられます。
また、近年はペットを飼育している高齢者も増えており、飼い主亡き後のペット問題につきましても、超高齢社会が抱える課題の一つとなっております。
様々な背景を持つペットの飼育問題の解決には、動物愛護の分野と社会福祉の分野など、関係する複数の機関が連携して取り組むことが重要と考えます。
例えば、多頭飼育の問題では、動物の飼育状況の改善だけではなく、飼い主の生活支援という異なる観点からアプローチすることによって、円滑に解決ができる場合もあります。
また、社会福祉などに携わる担当者が業務を通じてペットの問題を探知した場合に、保健所などが情報を共有できれば、事態が悪化する前に対処することも可能であります。
これまでも、福祉担当者から保健所への通報により、多頭飼育が早期に解決できた場合や、ケアマネージャーから動物指導センターに高齢者のペットに関する相談が寄せられ、譲渡につながった事例などもございました。
そこで、福祉関係者が参加する研修会などの場で、こうした好事例の紹介も交えながら、ペット問題を探知した際の保健所などとの情報共有について、広く働き掛けをしてまいります。
また、福祉分野の担当者にペット問題の相談機関である保健所や動物指導センターの業務について理解を深めてもらうため、リーフレットを作成し、福祉関連の機関に配布をするなどしてまいります。
今後とも、多機関が連携して飼い主亡き後のペット問題や多頭飼育問題に取り組めるよう努めてまいります。

※上記質問・答弁は速報版です。
※上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
※氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。

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