Q.深谷顕史 議員(公明)
我々はウイズコロナに向け、感染対策と社会経済活動との両立を図りながら感染を抑制するという難しい対応を求められております。2類相当から5類へといった類型の移行で問題が解決するほど、医療の現場では簡単な話ではありません。
私は、新型コロナとの闘いが始まって以来、50回以上にわたり最前線の医療現場に足を運んでまいりました。私を突き動かしたのは、県のコロナ対策決定の場に医療現場の声が届いていないのではないかとの思いからであります。
埼玉医科大学総合医療センターの岡秀昭教授は、これまでを振り返り、「医療体制は強化されたのではなく、シフトされたのだ」と語られています。どれだけコロナ病床を増やしたとしても、医療人材が増えなければ提供できる医療のキャパシティには限界がある。こうした現実を我々は真摯に受け止め、改善策に取り組んでいかなければなりません。
この状況を打開するために、私の提案も受けて県は、感染症専門医や感染管理認定看護師を派遣して、院内の感染対策や治療方を研修するトレーナー派遣事業を創設いたしました。また、今年度より始まった感染症対策の専門人材を育成する感染症専門研修の事業も高く評価できます。
私は、認知症患者のいる療養型病院やクリニックなども訪問いたしましたが、感染対策に限界を感じている現場が多いとの印象を受けました。一方、コロナ禍で、医療機関と同じレベルでゾーニングやPPEの装着などが求められた福祉施設での感染対策にも課題が残ります。
そこで、お伺いいたします。
本県が先進的に実施しているトレーナー派遣事業や感染症対策の専門人材育成事業について、診療所や福祉施設などへ対象を広げるなど、より発展させた形で推進するべきと考えます。感染症対策を担う人材の育成はクラスター対策として有効であり、将来のパンデミックも見据え、今後ますますクローズアップされていきます。御所見をお伺いいたします。
A.大野元裕 知事
未知なる感染症への対応は手探りの中、進めてまいりました。重要なことは、事実を把握し県民の皆様に正しい知識を正確に伝えることであります。
そのために、感染症に対し深い造詣を持ち、現場において正しく実践できる人材が必要となります。
県では、新型コロナウイルス感染拡大初期より、認定看護師を医療機関や介護施設等に派遣する事業を行っており、感染管理認定看護師を令和2年度は元年度の2倍以上となる76か所に派遣をいたしました。
また、感染管理認定看護師による研修事業もこれと並行して実施してまいりました。
令和3年度からは、院内感染対策を指導するため感染症に精通した医師等をトレーナーとして派遣する事業も開始いたしました。
これまでに診療所を含む40か所に派遣をし、コロナ患者の受入れのために専門的な知識の習得や技術の向上を図ってまいりました。
また、今年度からは、感染症の基礎を学び、将来、対策の中心的役割を担う人材の育成を目指す感染症専門人材研修を始めたところであります。
座学、演習、実習を織り交ぜた実践的な研修として、病院のスタッフを対象に143人の申込みを頂き、3回の演習と延べ6回の実習を実施をいたしました。
これまで主に病院を対象にこのように感染症人材の育成を多様な形で図ってまいりました。
議員御指摘のとおり、診療所や福祉施設などにおいても感染症の知識を持ったスタッフの配置が望ましいと考えております。
特に、重症化リスクが高い高齢者の入所する福祉施設のクラスター対策には感染症の知識を有した人材が欠かせません。
福祉施設は医療機関と異なり終の棲家であるといった特性を踏まえた対応をする必要があります。今後は、診療所や福祉施設のスタッフを研修事業の対象に拡げ、感染症の専門人材育成に努めてまいります。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。