Q.深谷顕史 議員(公明)
令和元年12月定例会一般質問において、私は、本県における音響式信号機が当時996基、うち24時間継続して運用しているのはたったの2基であることを指摘させていただきました。以降、設置箇所周辺の住民と調整を行うなど運用時間の拡大を図っていただき、現在は音響式信号機が1,042基、うち24時間運用を44基まで拡大していただきました。御尽力に感謝をいたします。
一方、住民との調整が困難な場所では、歩行者等支援情報通信システム、いわゆる高度化PICSが有効です。高度化PICSとは、専用のアプリケーションをインストールしたスマートフォンに対して、交差点名称や歩行者用信号の状況を音声や振動で提供し、視覚障害者や高齢者の方々などの安全な横断を支援するシステムです。しかし、県内での設置は残念ながら4基にとどまっており、他県に比べ大きく遅れている現状です。
川越市で視覚障害者信号機プロジェクトを立ち上げた谷田妙子さんと意見交換をいたしました。視覚障害者向けオンラインサロン交流会を定期的に開催し、鉄道や道路交通システムを手掛けるメーカーなどと、高度化PICSから発信される歩行者用信号の情報を活用した新たなシステムの検討にも取り組んでいます。何よりも当事者の皆様が計画段階から参画しており、非常に重要な取組だと思っております。
谷田さんが当事者目線で新たなシステムの検討に取り組んでいる理由は、スマホから青か赤かのアナウンスはありますが、自分の向いている方向の信号が青か赤か分からない。白杖や荷物、雨の日は傘を持った状態ではスマホが使いにくいなど多くの課題があるためです。また、スマホを利用する視覚障害者がまだまだ少ないという現状もあります。
新たなシステムの開発が待たれるところですが、視覚障害者や盲聾者団体から要望のある信号補助装置についても大変有効であると考えます。信号補助装置の一例としては、高さ約1メートルのポール型で、弱視者でも分かりやすいように横断歩道の手前に設置されます。ボタンを押せば歩行者用の信号機と連動し、ポールの先端部分が振動し、スピーカーからの音とLEDの光で青信号になったことを伝えます。スピーカーの高さが耳元に近いため音が聞き取りやすく、夜間に誘導音が止められている時間帯でもボタンを押すことで鳴動させることができます。既に大阪府や和歌山県などで設置が進んでいます。
そこで、警察本部長にお伺いいたします。
1点目に、運用時間を制限している音響式信号機について、引き続き視覚障害者関係団体等からニーズを丁寧に聞き取り、24時間運用の拡大などを更に進めるべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
2点目に、高度化PICS数の増設と本県も信号補助装置の設置について検討するべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
3点目に、音響式信号機の設置箇所等の情報は、埼玉県警ホームページに掲載されておりますが、新規整備箇所や24時間運用の箇所など詳細な情報について、視覚障害者関係団体を通じて当事者へ伝わるよう丁寧に情報提供していただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
A.鈴木基之 警察本部長
まず、「音響式信号機の更なる運用時間の拡大について」であります。
音響式信号機の運用時間の拡大については、視覚障害者等の方々が安全で安心して通行するために、重要であると認識しております。
県警察といたしましては、関係市町村等と連携し、付近住民のご理解を得ながら24時間運用の拡大を図っており、また、交通環境等により24時間運用が困難な場所においては、運用時間の延長も順次行っております。
議員お話しのとおり、本年11月末時点で全体の4.1パーセントにあたる44箇所において24時間運用を行っているほか、令和元年度以降、18箇所において運用時間の延長を行いました。
今後も視覚障害者関係団体等の要望を踏まえながら、音響式信号機の整備を進めるとともに、運用時間の拡大を順次進めてまいります。
高度化PICSについては、令和4年度末現在、全国32都道府県において463基整備されており、本県においては、さいたま市及び川越市内に計4基整備しております。
交通安全施設の整備にあたり、関係団体等と意見交換をしておりますが、議員ご指摘のとおり、高度化PICSについては、音響誘導がないため進行方向が分かりにくいなどの意見も寄せられているところであります。
しかしながら、交通環境等により音響式信号機の設置が困難な交差点等においては、安全な横断を支援できるシステムであると認識しておりますので、今後も関係団体等の要望を踏まえながら整備を進めてまいります。
また、議員お話しの信号補助装置については、一部の府県において導入されていると承知しており、交差点手前に設置された装置のLED表示部により弱視の方々も信号を確認しやすくなるなどの利点があると認識しております。
他方、歩行者の滞留状況等によりLED表示部が隠れて視認できないなどの改善点が見受けられたほか、整備費や保守管理の観点から本格導入を見送った都道府県もあると聞いております。
県警察といたしましては、音響式信号機及び高度化PICSの整備を推進するとともに、他県の整備状況等を踏まえながら信号補助装置について研究してまいります。
最後に、「視覚障害者関係団体等への丁寧な情報提供について」であります。
音響式信号機や高度化PICSの整備状況については、視覚障害者の方々が安全な移動経路を選択するうえで重要であると認識しており、本年1月より、県警ホームページにて整備箇所等について公表を開始したところであります。
また、公表にあたり、「押ボタンを押す必要があるのか分かるようにしてほしい」、「シグナルエイドに対応しているか分かるようにしてほしい」などの要望を踏まえ、随時更新を行っております。
今後は、ホームページによる情報発信のほか、新規整備箇所等の整備状況について、関係団体との意見交換の機会等を通じて、よりきめ細やかな情報提供が行えるよう対応してまいります。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。