Q.蒲生徳明 議員(公明)
「超短時間雇用」とは、週に15分や一時間からでも通常の職場で役割を持って働くことのできる仕組みの総称です。東京大学先端科学技術研究センターが提唱する雇用モデルで、特に障害や難病等で長い時間働けない人々を通常の企業等で働けるようにするための地域の仕組みです。現在、川崎市や神戸市が地域制度として、またソフトバンク株式会社では「ショートタイムワーク制度」の名で実施されています。
先日、この制度を進める神戸市の担当者に事業内容をお聞きしました。神戸市では、障害のある人、仕事や生活に困っている人で、働く能力があるのに個々の状況で雇用率算定基準の週20時間以上働くことができない人のために、週20時間未満の超短時間雇用を東京大学、委託業者、神戸市が連携して、平成29年度から始めています。
例えば、多くの仕事を抱え本来取り組みたい業務が後回しになっている人と超短時間で働ける人を、外部委託のコーディネーターが調整しマッチングさせます。知的障害のあるAさん、商店街のパン屋さんでデニッシュパンの形を整える仕事を週1時間だけ担っています。このおかげで、これまでパンづくりに全ての時間が取られ、お客さんと交流ができないことを残念に思っていたBさんは、Aさんのおかげで短時間でも接客ができ、希望をかなえています。
このように、雇う側では人手不足の解消や業務効率の改善、障害者雇用への理解が深まり、働く側では働き方の多様性と選択肢が広がり、障害者の就業機会の拡大にもつながるメリットがあります。神戸市では現在、市内26社で48人が、そして庁舎内で二人が、超短時間雇用で働いています。
ここで大切なのは、障害者が障害者であることで雇用されるのではなく、特定の業務を果たすことができ、職場を助けてくれる人材として雇用され、短時間であっても時給と評価は一般の労働者と同じだということです。
ただし、超短時間雇用は、本来、障害者に限るものではなく、子育て中や家族の介護が必要な世帯、高齢者、病気であっても障害認定を得られないなど、長時間働くことが困難な人々でも、将来、環境が整えば対象となるべきです。
私は、埼玉県が超短時間雇用の先進県となり、個々の環境のハンデで思うように働けない人たちに新たな雇用機会を作るべきだと考えます。そこで、超短時間雇用に対する御所見と本県としてどのように展開していくのかを併せて知事に伺います。
A.大野元裕 知事
デジタル化の進展や多様な働き方の普及により、働く場所や時間の制約が取り払われ、週20時間未満であれば働ける方などの雇用環境が急速に整ってきております。
議員御提案の「個々の環境のハンディで思う様に働けない人達に新たな雇用機会の創出をはかる」絶好の機会であり、多くの方に超短時間雇用を広めていくチャンスだとも思っています。
東京大学が提唱する超短時間雇用モデルは、短い時間単位で切り出した業務を労働者に割り当てるものであります。
このモデルは特に障害者の方に適しているといわれます。
しかし、障害者雇用率は週20時間以上働く方を対象としているため、超短時間雇用は普及していないのが現状です。
一方で、障害者の方は最初から週20時間以上働けるとは限りません。
超短時間雇用の活用事例の中には、週4時間の勤務から週30時間の勤務にステップアップした事例もあります。
また、重度障害者の方がテレワークで1日3時間だけ就労する事例など障害者の方の社会参画に有効な事例もあります。
県ではこうした事例を研究し、企業向けのセミナーや障害者雇用の提案の際に積極的に超短時間雇用を紹介し、普及に努めてまいります。
「新しい生活様式」の中で、働き方にも新しいスタイルが求められています。
県といたしましては、この機会を捉え、まずは障害者雇用の分野から成功事例を積み重ね、超短時間雇用による多様な雇用機会の創出を図ってまいります。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。