働く障害者の支援について

Q.西山淳次 議員(公明)

私は議員として、これまで様々な障害者の働く現場を見させていただき、障害者の方が自分に合った仕事を得て一生懸命働いておられる姿に、いつも感動してまいりました。働きたいと願う障害者の方が、一人でも多く働ける埼玉県になってほしいと念願をしております。
そこで、まず、一般就労である障害者雇用について伺います。
本県の障害者雇用率は、かつて全国最下位という不名誉な状況にあり、私も幾度となく県の取組強化を訴えてまいりました。そして、本県は平成19年、企業へ障害者雇用を働き掛けることを主な業務とする障害者雇用サポートセンターというユニークな取組を開始しました。その後、雇用開拓員やジョブコーチの配置、また、精神障害者の雇用拡大に力を入れるなど取組を強化した結果、本県の障害者雇用率は次第に上昇し、直近の令和3年の障害者雇用率は、法定雇用率の2.3%を超える2.32%になりました。都道府県別の全国順位は22位と真ん中より上にランキングし、かつての汚名を返上するにまでに至りました。
先日、会派として改めて現在の障害者雇用総合サポートセンターを視察させていただきましたが、まずは関係職員のこれまでの御尽力を高く評価したいと思います。その上で、是非とも次は全国上位を目指していただきたいと思います。
そこで、次のステップアップへの課題であります。本県内に障害者雇用義務のある従業員43.5人以上の企業は3,647社あり、うち、法定雇用数を達成しているのは1,743社、47.8%が達成をしています。一方、未達成企業1,904社のうち、1人も雇用していないゼロ人の企業が1,172社あり、そのうち、1,010社が従業員100人未満の企業であります。つまり、従業員100人未満の企業が1人もしくは2人の障害者を雇用できるかどうかが今後の鍵であり、そこへのてこ入れが必要と考えます。そこで、指摘しました100人未満の企業に対するてこ入れも含め、更なる障害者雇用の推進に向けて今後どう取り組んでいくのか、知事に伺います。
次に、障害者の就労支援について伺います。
障害者就労には、雇用契約を結び最低賃金以上を保障するA型と、事業所と雇用契約を結ばずに工賃として生産物に対する成果報酬が支払われるB型があります。私は、今回の質問の参考にするべく、所沢市の株式会社きぼう工房と新座市の社会福祉法人埼玉福祉会という二つの障害者就労支援事業所を視察しました。両事業所とも、A型、B型、双方の利用者がいます。
所沢市のきぼう工房は、監視カメラの組立て、検品やドライフラワーの製造販売というユニークな事業を行っています。たくさんのドライフラワーがつるされた作業所では、利用者の方がかわいらしいドライフラワーのブーケを作っていました。手先の器用さと根気が必要な作業です。製造するだけでなく、川越市の蔵造りのまち並みの一角におしゃれなショップを自前で構えており、利用者が作ったブーケなどがきれいにラッピングされて販売されていました。福祉を売り物にせず、あくまでもドライフラワーの専門店という中身で勝負をされていました。代表者の松永さんが言われた「たとえ良い品物でも、見せ方、売り方、ブランディングが大切です」との言葉が大変印象的でした。
また、新座市の社会福祉法人埼玉福祉会は、驚くほど多岐にわたる事業を展開しています。図書整理をはじめ、介護用品ショップ、出版、印刷、焼き芋やニンニクの製造販売、イチゴ農園という多彩な事業展開で、障害者と健常者が一体となって働いています。特に、近年始めたイチゴ農園は人気を呼び、いつも午前中の早い時間に品物が売り切れてしまうとのことでした。私もいただきましたが、びっくりするほどおいしいイチゴでした。ちなみに、次は是非、埼玉特産の「あまりん」とか「かおりん」を栽培したいと言っておられました。
さて、こうした多彩な事業展開に次々と挑戦してきた同法人の並木理事長は、「下請になってはいけない。ビジネスの利益を福祉に還元していく。福祉にも経営者の自覚が必要だ」と力説しておられました。「福祉の世界に経営を」との考えは、かのスワンベーカリーを立ち上げたクロネコヤマトの創業者小倉昌男氏の信念でしたが、御紹介したお二人も、優れた経営感覚を持って奮闘されていると感じました。障害者に高い賃金、工賃を支払うには、何よりも売上げを伸ばさなくてはなりません。福祉にも経営をという観点に立って、県が福祉の現場を支援していくことは非常に重要だと考えますが、知事のお考えを伺います。

A.大野元裕 知事

障害者雇用の推進に向けた今後の取組についてであります。
県内企業の障害者雇用率は、障害者雇用総合サポートセンターを中心に行った企業への働き掛けにより大きく改善いたしましたが、議員御指摘のとおり、法定雇用率を達成した企業は対象の半数を下回っております。
特に、従業員数100人以下の企業は、不足する障害者の雇用人数に応じて課される障害者雇用納付金の納付義務がないことから、障害者の雇用が進んでおりません。
県ではこうした規模が小さい未達成企業を中心に企業訪問を実施しており、制度の概要や雇用に当たって利用できる助成金のほか、同規模同業種の導入事例などを御紹介させていただき、障害者の雇用を働き掛けています。
また、障害者雇用の制度や支援の内容を分かりやすくまとめた動画を作成し、動画サイトで公開しているほか、訪問先の企業の経営者や担当者に御覧をいただいております。
一方、障害者雇用に理解を示さない企業に対しては、監督権を持つ埼玉労働局の職員と同行訪問し、企業への働き掛けを強化しております。
さらに、来年度からは、重度障害者や精神障害者の方も企業が雇用しやすいように、週20時間未満の超短時間雇用からのステップアップやテレワークを活用した就労を支援してまいります。
今後とも、障害者雇用総合サポートセンターを中心に、埼玉労働局と連携しながら、障害者雇用の更なる推進に向けて取り組んでまいります。
次に、就労継続支援事業所に対する支援についてでございます。
埼玉県工賃向上計画では、工賃向上に向けた課題として「購入する側の視点に立った商品開発が進んでいない」、「企業経営のノウハウを持つ事業所が少ない」などを挙げています。
このように、県では障害者就労支援においても、経営感覚は重要な課題であると認識しております。
そこで、事業所の管理者等を対象に経営コンサルタントによる研修会の開催や、魅力ある商品開発、販路拡大に取り組む事業所へのアドバイザー派遣に関する経費を補助しています。
今後もこうした取組を充実させるとともに、経営感覚あふれた成功事例を優良事例集としてまとめ、多くの事業所に周知して横展開を図ってまいります。
障害者就労継続支援事業所が経営感覚の視点を持って、就労支援に取り組み、障害者が地域で潤いのある生活を送ることができるよう、全力で支援をしてまいります。

上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。

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