原油・原材料価格高騰対策について

Q.塩野正行 議員(公明)

現在、多くの事業者をはじめ、県民の皆様がコロナ禍による影響に加え、原油・原材料価格の高騰により極めて厳しい困難に直面しています。燃料価格の高騰は、トラック、バス、タクシーなどの物流、輸送業界だけでなく、利用者の送迎を行っている介護施設や障害者施設、農家や畜産業者など多岐にわたる事業者や一般消費者に影響が広がっています。
また、原材料価格の高騰は、それ以上であります。私の地元川口市の地場産業として有名な鋳物産業においては、銑鉄などの原料価格が急騰し、利益が全く見込めない状況に陥っております。経営を維持していくのも難しい状況が現れています。1トン当たり6万円前後だった銑鉄の仕入れ価格が昨年秋に2万5,000円値上がりし、この春にも更に1万5,000円上がるそうであります。半年間に約7割の高騰であります。このほか、木材や電材など建設関連の資材も高騰するなど、幅広い業種、業界において経営の危機に瀕しています。
そして、2月24日にはロシアがウクライナに侵攻しました。断じて許されない暴挙であります。直後には、原油の国際価格が1バレル100ドルを突破、深刻な影響が拡大することが必至の情勢であります。
コロナ対策とともに喫緊の課題と考えます。まずは、政府がしっかりとした対策を打つのは言うまでもありませんが、県内の中小企業や事業者、消費者である県民を守るために、県としてもでき得る限りの対策を早期に講ずるべき局面にあると考えます。
本県は昨年12月、原油・原材料価格高騰に対する資金繰り支援については既に実施をしております。このことは評価いたしますが、一方で他県では経営相談や資金繰り支援などに加え、例えば愛知県では農業者、漁業者などへの燃料購入費の補助、バス、タクシー事業者への価格上昇相当額の支援、福祉施設への車両の燃料費支援、私立学校の生徒が通学等のために使用する車両の燃料費支援など、直接的な財政支援にも乗り出しております。
そこで、知事に御質問いたします。
ロシアのウクライナ侵攻による世界経済への影響も踏まえ、原油・原材料価格の高騰に対処しなければなりません。関係部局による対策会議の設置など、この問題に特化した体制の整備と具体的かつ早急な対策を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。その際、農業者、交通事業者、福祉事業者など影響を受けている事業者への具体的な支援を検討すべきであります。
また、建設、土木など公共工事における影響も大いに懸念されます。資機材の高騰や輸送コストの上昇に対し、請負金額への上乗せに積極的に対応していただきたい。具体的には、スライド条項の適用を積極的に活用すべきであります。工事請負業者が遠慮することなく、速やかに請求できるよう最大限柔軟に対応していただきたい。公共事業における対応についてもお答えいただきたいと思います。

A.大野元裕 知事

体制の整備と具体的な早急な対策についてでございます。
原油・原材料価格の高騰は世界共通の問題として、基本的には国において対策を講じるべきものであります。現在、国ではガソリンのトリガー条項の凍結解除を含めた追加対策の検討がなされていると承知をしています。
県といたしましても、県内事業者や消費者である県民の生活を守っていく必要があります。
県では、昨年11月に、県内経済団体から県経済の回復や活性化に向けた取組について御提言をいただき、県が早急に取り組むべきことをパッケージ化いたしました。
このうちの一つが、原油高など調達コスト高騰対策支援であります。
12月には、県制度融資の経営安定資金について、知事の指定する融資対象業種を全業種とするとともに、緊急融資枠100億円を設けることにより、資金繰り支援を強化しました。
現在までに約150件、30億円を超える申込みがあり、今後も増える見込みであります。
コロナ禍、中期的な原材料高騰、化石燃料価格高騰とそれに伴う投機筋の動き、円安等、多様な要素が存在する中、原油・原材料価格高騰の長期化を見据えつつ、一つ一つの個別の事象に対処するのではなく、資金面に着目したセーフティネットが重要と考え、制度を継続し、令和4年度当初予算案にも、100億円の融資枠を設定することといたしております。
さらに、県のホームページで、原油・原材料価格の高騰も含めた経営上の課題に対する相談や、親事業者との公正な取引や適正な価格転嫁などの下請取引に関する相談を専門に受け付ける窓口を周知しております。
引き続き、影響を受けている中小企業者を支援してまいります。
また、議員御指摘のとおり、影響を受けている事業者は幅広い業種・業界に及ぶため、更なる支援策の検討に当たっては、関係する部局が情報を共有し連携していくことが重要であります。
そこで、情勢の把握や県内企業等への直接的な影響のみならず、ガソリン、原材料等の価格動向や県内産業への影響など、ウクライナ侵攻が開始される前から頻繁に情報を毎日収集し、私が先頭に立って関係部局が共有する体制を敷き、オンラインで意見交換を随時行ってまいりました。今後とも、不安を抱える事業者や県民が相談できる窓口の情報と支援制度の情報を一元的に発信してまいります。
県としてできることに迅速に取り組むことにより、県内事業者と消費者である県民の生活を守ってまいります。
次に、公共事業における対応についてであります。
公共工事で用いる資機材の単価は、市場における実際の取引価格である実勢価格を反映し設定しております。
この資機材単価は、近年、上昇傾向にあります。例えば、この1年間で鉄筋は約22%、軽油は約16%上昇しております。
公共工事は工事完成まで期間を要することから、契約締結後の急激な物価変動に対応することも必要であります。
このため、議員御指摘のスライド条項を契約約款に規定しています。
これは、変動後の資機材単価等を用いて工事費を算出し、その工事費の増減額が一定の割合を超えると請負金額の変更を可能とするものであります。
このスライド条項を適用し請負金額を変更した件数は、令和3年度ではこれまでに1件ございます。
スライド条項の活用の拡大につきましては、事業者の方々に、この規定を広く知っていただくとともに、内容を十分に理解していただくことが重要であります。
このため、本年1月には建設業関連団体に対し、スライド条項の申請手続きやスライド額の算出方法などを示した運用マニュアルを送付し、制度の周知に努めたところであります。
また今後は、工事請負業者の方々に手続の流れや相談窓口を明示したリーフレットを契約締結時にお渡しして説明するなど、申請についてきめ細かな支援を行ってまいります。
事業者の方々が申請しやすい環境づくりに努めるとともに、申請につきましては、速やかに協議を進めてまいります。

再Q.塩野正行 議員(公明)

先ほどの御答弁を伺っておりまして、様々既に準備や対応に当たっていただいていることはよく分かりましたし、また私の質問で触れましたように融資については先行して様々な手を打っていただいているということは評価しているんですが、3項目の質問で債務負担の件に触れましたように、昨年3月までの新型コロナウイルス感染症対応資金、これ1兆円を超えたということで、結構皆さん余裕を持って借りておられるという面もあってですね、新たな融資よりも債務負担の軽減を求めているという質問をしましたけれども、これ以上、融資を求めているというよりは、これ以上また債務負担が過重になってしまうということよりも、私、この原油・原材料価格の高騰対策についても事業者に対する具体的な支援をというふうにも問い掛けさせていただいたところであります。
そこについては明確な御答弁はどうもなかったような気がするものですから、これからウクライナ情勢もどうなるか、また世界経済がどう転ぶか分からない現時点で、今の答弁だとちょっと不十分かなと私は思っていまして、仮に更に悪化をするような状況があればですね、具体的な、今2月定例会ですので、なかなか財政的な措置を求めるというのは厳しい時点ではありますけれども、必要があれば、そういったことも含めて事業者への具体的な支援というものを検討するということを現時点でお答えいただけるかどうか、再答弁をいただきたいというふうに思います。再質問をしたいと思います。

再A.大野元裕 知事

先ほど申し上げましたとおり、現在の原油・原材料価格の高騰はコロナ禍あるいは中期的な原材料の高騰、例えば先ほど塩野議員がおっしゃった銑鉄に関しては4年越しの高騰でございます。
また、化石燃料の価格の高騰とそれに伴う投機筋の動き、これもLNGは最もロシアから輸入していますけれども、サハリン1で250万トン、サハリン2で500万トン程度でございますので、現在も3週間程度の民間の流通在庫からすれば直接影響があるものではなく、どちらかと言うと投機的な動きが大きいと考えており、状況を見守る必要があると思っています。
また円安、様々な要素がある中で、先ほど申し上げたのは最終的なセーフティネットとしての企業活動に対し、資金面に着目したセーフティネットとして金融面についてのお話をさせていただきました。
仮に、今後ウクライナ情勢など全く先が見えることがございませんし、コロナ禍についても同様でございますので、具体的な形で対応が必要と考えられた場合には、議員のご指摘もございましたので、躊躇なく取組を進めたいと考えております。

上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。

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