Q.西山淳次 議員(公明)
本県は「イツモ防災」と銘打ち、防災マニュアルブックを作成し、県民へ配布しております。これがその防災マニュアルブックの現物でございます。私はその趣旨には全く賛成でありますが、その配布方法や発行の仕方、内容には問題があると指摘したいと思います。
まず、どうやって県民にマニュアルブックが配布されているかですが、現状はNTTのタウンページと一緒に配られています。タウンページというのは職業別の電話帳です。2019年7月、11月に全県下で350万部が配布されたそうでありますが、今どきどれだけの方が電話帳を必要としているでありましょうか。
NTTには大変申し訳ありませんが、中身を確認せずに処分してしまう人も相当いるのではないでしょうか。私の周囲の人に聞いてみても、タウンページという電話帳が現在全戸配布されていることを知らない人が多かったですし、ましてや県の防災マニュアルブックが一緒に入っていることを知っている人はほとんどおられませんでした。全ての県民に届いているとは、どう考えても言い難い状況でございます。
また、その現物を見ますと、タイトルが「イツモ防災タウンページ」となっています。そして、裏付には発行元として「NTTタウンページ株式会社」、協力として「埼玉県○○市」とあります。これは県の発行物ではないのか、そう疑問に思い改めて確認したところ、内容は県が提供しているが、発行はNTTタウンページ株式会社で間違いないとのことであります。どうしてこんなことになっているのか。このやり方だと県の予算がゼロで済むからだとのことであります。発行元がタウンページなら印刷代も配達代もただ。でも、民間会社のものですから、広告だと思って見ない人、捨ててしまう人もいると思います。
また、このイツモ防災タウンページとは別に、県は三種類の防災マニュアルブック、この三種類の防災マニュアルブックを作っておりますが、これは逆に有料であります。この小さいやつが70円、これが50円、この二つは有料であります。私は、本県の防災マニュアルブックに対する考え方が違うのではないのかと思うところでございます。抜本的に見直すべきと考えます。
もう一度原点に立ち返って、県が作成・配布する防災マニュアルブックの在り方を再検討していただきたい。また、その際には、現行のマニュアルにはない、外出時に大地震に遭遇した際の対応なども追加すべきであります。
大原則として防災マニュアルブックというのは、県の予算をきちんと使って、全ての県民の下に無償で届けるべき性質のものと考えますが、いかがでしょうか。知事の見解を伺います。
A.大野元裕 知事
防災マニュアルブックをすべての県民のもとに無償で届けるべきについてであります。
災害による被害をできるだけ少なくするための基本となるのは「自らの身の安全は、自ら守る」という自助の取組であり、普段の生活の中での備えを県民に分かりやすく、かつ広く伝えることが県の重要な役割と考えております。
そのため、県では防災マニュアルブックを作成し、県民向けの講座などで配布するとともに、ホームページからダウンロードできるようにしております。
しかし、必ずしもこうした情報を自ら取りにいく方、あるいは取りにいける方ばかりでないことも事実です。
そのため、広く県民に皆様にお届けする取組として、県、市町村、NTTタウンページが連携して「イツモ防災タウンページ」を作成し、県と市町村の費用負担なしで県内の全世帯及び全事業所に配布したところであります。
私も県民の皆様があまねく災害への意識を高め、具体的な行動に移したいと強く願っており、議員の問題意識は十分に理解するところであります。
一方、情報を得る方法は、世代や個人によって電子媒体や紙媒体など様々でありますし、また、マニュアルブックの内容についても、適宜、見直していく必要があり「これで完成」ということはありません。
さらに、多額の費用も要することから、全ての県民のもとに防災マニュアルブックを無償でお届けすることについては、慎重に検討せざるを得ないと考えています。
そこで、県内の各家庭に新聞の折込みでお届けしている彩の国だよりにも活用し、令和2年3月号では防災マニュアルブックの内容を3ページにわたって掲載をすることとしています。
私も知事コラムの中で、災害に備えていただくよう直接呼び掛けを行ってまいります。
さらに、スマートフォンを利用する方が多くなっていることから、令和2年3月からは、マニュアルブックをアプリ化し、提供する、そして常に持ち歩くことができるようにいたします。
次に、現行マニュアルに外出時に大地震に遭遇した際の対応なども追加することについてでございます。
本県には、都内に通勤、通学されている方も多く、大変重要な視点ですので、マニュアルブックに取り入れさせていただきたいと考えます。
県民の皆様に災害への備えが広く行き渡るよう、情報発信に工夫を重ねていくとともに、今後とも市町村や防災士会などと連携し、市町村の広報紙や研修、イベントなど様々な方法で呼び掛けてまいります。
再Q.西山淳次 議員(公明)
御答弁を頂きましたけれども、まず防災マニュアルブックを全ての県民に県の責任で届けると、こういう大原則には、実際に手に取って使うかどうかは別にしても、そういうふうに県として用意してお届けするということが大原則であるということについては、知事は御同意いただけるのでありましょうか。まず、それが1点。
それから、もしそれに御同意いただけるのであるならば、大変恐縮ですが、現行の電話帳と一緒に配るという方法では不適切というか、うまくいっていないというのが私の意見でございます。これについては、特段のお答えがなかったように思います。もし大原則、全ての県民に届けるということを前提にするならば、ほかの方法を考えなければいけないというのが私の質問の趣旨でございまして、この点についてどうかということ。
それから、御答弁の中で「多額の費用が」というお話もありましたけれども、実際に恐らく計算はまだされていないんだと思いますが、彩の国だよりも年間の12回の発行で二百数十万の世帯に配って約3億2,000万円だというふうに聞いております。印刷そのものは恐らく億はかからないと思います。
配り方では、例えば所沢市も自主的なそういう防災ハンドブックを市民の皆さん全てにお配りしていますが、シルバー人材センターの方にお願いして配っていただいている。あるいはそんなに回数がしょっちゅう毎月配るようなものでありませんで、恐らく多くても2、3年に一編改定するくらいだと思いますけれども、そういう類のものであるならば、自治会にお願いして配布していただく。それこそ趣旨的にも非常にいいのではないのか。もし自治体に御協力いただけるならば、これは正に配布方法等は、配布については無料の可能性もございますし、様々な方法があるのではないのかなと思っておりまして、要はネットであるとかいろんなものもありますけれども、そうするとメインの手段として、一番多くの県民の皆さんにどう届けるかということについてお答えがなかった。
もしくは、今のままでいいというふうにお考えなのか。私は今のままのやり方では、多くの県民の元には届いていないという指摘をさせていただいたつもりでございますので、お答えいただきたいと思います。
前向きな答弁をおおむねいただいているのに恐縮でございますが、この点についてはどうしてももう一回、御答弁を頂きたいと思います。
再A.大野元裕 知事
防災マニュアルブックをすべての県民に届けるという原則は変わらないのか。多額の予算がかかるというが様々な方法があるのではないかについて答弁をさせていただきます。
まずこれまでの考え方をまず説明させていただく。自助の取組は大切である。そのため、防災マニュアルブック等で県民に自助の取組を知ってもらうために作成している。配布する場合、予算がかかるためNTTタウンページとタイアップをした。それに加え、オンラインでアクセスしダウンロードできるようした。来月号の彩の国だよりにおいてエッセンスを私のコメントを添えて出させていただくのがこれまでのやり方、考え方。
その上で申し上げれば、原則として届くようにするというのは我々も可能な限りその考え方にそってやらせていただきたい。NTTの配布、彩の国だよりは一般論では総体的に高齢者に届く可能性が高いと考える。他方、オンラインは、一般論に総体的には若い方に届く可能性が高いと考えている。まだ十分ではないというご指摘はそのとおりであるので、この3月から新しい媒体としてアプリとして提供させていただく。これが防災マニュアルブックの考え方である。
多額の予算がかかるのではないかですが、競争見積もり等はまだとっていないが、どの位かかるか参考で見積をとったところ、御指摘の金額の倍くらいかかる状況であった。
自治会や様々な形の多様な御提案をいただきましたので、新たな取組として、アプリ等を導入してまいりますので、その効果について検証させていただき、総合的に判断していきたい。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。