1 「盲ろう者」の自立と社会参加支援について(知事)

Q.石渡 豊 議員(公明)

この質問は、スピードを少し落として進めさせていただきたいと思います。なぜかと申しますと、本日は傍聴席に埼玉盲ろう者友の会の皆様、障害を持つ当事者の方々、当事者を支える通訳・介助員の方々がお越しになっております。通訳・介助員の方が触手話、指点字などで懸命に通訳をなされます。どうかよろしくお願いいたします。
知事に御報告いたします。本日お越しの当事者の方々の中には、以前に大野知事から励ましのお言葉を頂いた。その言葉を大事にされている方がお二人いらっしゃいます。
皆様、ようこそお越しくださいました。ありがとうございます。
盲ろう者、聞き慣れない言葉だと思います。私自身も5か月前に知ったばかりです。盲ろう者といいますのは、目、すなわち視覚、耳、すなわち聴覚、この視覚と聴覚、この両方に障害を併せ持つ人のことをいいます。
盲ろう者が生活する現実の日々は、次のように表現できると思います。もし、あなたがテレビを見ていて、いきなり画面が消えてしまい、スピーカーの音だけが聞こえる状態になったとします。これは、「盲」の人が経験している世界に似ています。逆に、テレビの音が消えてしまい、画面だけが残っている状態になったとします。それは「ろう」の人が置かれている状態といえると思います。
それでは「盲ろう」はといいますと、テレビ画面を消して、同時にスピーカーの音も消してしまった状態とお考えください。盲ろう者の前には、永遠に続く静かな夜が広がっています。これが盲ろう者の日々とお考えくださればと思います。
今、御説明したタイプの方は全く見えず、聞こえないという全盲のタイプの方です。ヘレン・ケラーさんを思い起こされた方もいらっしゃると思います。
盲ろう者と一口に言っても、その障害の状態や程度は様々ですので、もう少し御説明をさせてください。
見え方と聞こえ方の組合せによって、4つのタイプに大別されます。1、先ほど話した全盲ろうタイプ。2、見えにくく聞こえない弱視全ろうタイプ。3、全く見えず聞こえにくい全盲難聴タイプ。4、見えにくく聞こえにくい弱視難聴タイプ。大きく分けてこの4つのタイプとなります。
私は、1月20日、東京都盲ろう者支援センターを視察させていただきました。その折、センター長は熱く語ってくださいました。盲ろう者には、何とか自立して社会参加をしたいとのニーズがあります。しかし、そこには3つの困難があります。それは、1つには、コミュニケーション、2つには、移動、3つには、情報入手。この3つの困難を解消していくことが、盲ろう者の社会参加を促していきます。コミュニケーションと移動はどうしても必要な支援です。通訳・介助員派遣事業、この事業の利用は必要なのです。センター長の言葉を私は心に深くとどめました。
それでは、知事に御所見をお伺いいたします。
1点目は、盲ろう者当事者の実数についてお伺いいたします。本県の調査はいつ、どのように行われ、その結果は何人ですか。当事者団体が認識する人数と違っているようです。再度、精緻な調査をなさるお考えはありますか。
2点目は、本県の事業、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業について伺います。この事業は、当事者には最も必要な支援と考えます。民間団体に委託されての事業ですが、受託している民間団体からの要望はどのようなものがありますか。
3点目は、この盲ろうという障害そのもののことを関係行政機関や県民の皆様に周知する必要があると考えます。
一人も取り残すことはないとおっしゃってくださる知事です。どうかお願いいたしたいと考えます。知事の御所見をお聞かせください。

A.大野元裕 知事

盲ろう者の実数についてでございます。
県では、視覚障害と聴覚障害を合わせて障害者手帳2級以上の重度の方を対象に、コミュニケーションや移動を支援する「盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業」を実施しています。
この事業の一層の推進を図るため、令和4年1月に県内市町村を通じて、盲ろう者の実数調査をした結果、103人でした。
当事者団体の調査では、本県では334人となっており県の調査による人数と異なりますが、それは当事者団体の調査の定義が異なり、より広く、弱視の方や難聴の方も対象に含めて実施されていることによるものであります。
県としては、当事者団体の定義による調査結果を認識しておりますので、再度調査を行う必要はないと考えます。
次に、埼玉県盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業を受託している民間団体からの要望は、どのようなものがあるのかについてでございます。
この事業を受託している「埼玉盲ろう者友の会」からは、盲ろう者の障害の特性を十分に考慮した生活訓練やパソコン操作等の技能訓練、盲ろう者同士で情報交換等ができる場の設置、さらには県や市町村職員の理解促進のための研修実施などの御要望を頂いております。
次に、盲ろうという障害そのもののことを、関係行政機関や県民に周知することについてでございます。
盲ろう者の自立と社会参加を一層進めていくためには、盲ろう者の障害の特性を多くの方々に知っていただき、支援の輪を広げていくことが必要です。
県ではこれまで、支援の窓口となる市町村職員を対象とした説明会において、盲ろう者の障害特性やコミュニケーション手段等について理解の促進を図ってまいりました。
今後、県のホームページなど様々な広報媒体を活用して、広く県民向けに周知を図り、多くの方に盲ろうという障害のことを理解していただけるよう努めてまいります。
あわせて、地域において障害者の相談や支援を担う障害福祉サービス事業者向けに説明会を開催するなど、盲ろう者の支援をこれまで以上に充実するよう働き掛けてまいります。
障害のある方もない方も誰もが活躍し、共に生きる社会を実現するため、当事者団体から頂いている御要望も踏まえて、盲ろう者の方々への支援にしっかりと取り組んでまいります。

※上記質問・答弁は速報版です。
※上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
※氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。

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