Q.権守幸男 議員(公明)
本県では、子供たちが日頃抱える悩みや不安等を気軽に相談できるよう、さいたま市を除く県内全ての中高生を対象にSNSを活用した相談窓口が令和2年度に設置されました。延べ相談件数は、開始から3年間でおよそ3600件となっております。主な相談内容は、友人関係、心身の健康・保健、学業、進路など多岐にわたります。気軽に簡単につながれるこの相談窓口は、子供たちにとって安心感につながります。
事前の担当課へのヒアリングでは、相談内容の多くは友人関係や学校生活など日常的な悩みが中心となっており、「早期に相談に乗ることで、こうした悩みが深刻化することを防ぐことができた」「時には自傷行為の相談を相談者の了承を得た上で学校に情報提供し、継続的な見守りにつなげることができた」と述べており、成果を上げることができています。
さて、令和3年度の埼玉県内の公立小・中学生の不登校児童生徒数は、文部科学省の調査によると、前年度比25.1%増の1万1178人でありました。また、令和3年度の埼玉県内の公立小・中・高校生の自殺者数は、文部科学省の調査によると17人となっており、多くの命が失われている現状です。胸が締めつけられる思いでいっぱいです。
コロナ禍により、子供たちを取り巻く環境は大きく変化しました。こういった時代だからこそ、子供たちにとって気軽に相談できる窓口は欠かすことができません。これから更に重要性を増すと考えますが、教育長の見解を伺います。
次に、相談窓口の対象を小学生にまでに広げられないでしょうか。全国では3府県4政令市が全学年を、1政令市のみ小学校4年生からを対象として既に取り組んでいます。
県教育局が令和3年度に行った児童生徒におけるスマートフォン等の利用状況等に関する調査では、小学校6年生は66.6%、小学校4年生は48.1パーセントがスマートフォンを所持しているという結果からも、小学生もスマートフォンの所持率が高いです。また、小学生だと中高生と違い、会話の語彙力に対する懸念があるのであれば、小学生を対象に期間限定で施行を検証することも必要と考えます。
そこで、相談窓口の対象を小学生まで拡大することについて、教育長の見解を伺います。
A.日吉亨 教育長
まず、SNSを活用した相談窓口はこれからさらに重要性を増すと考えるがどうか、についてでございます。
議員お話のとおり、コロナ禍により子供たちを取り巻く環境は大きく変化し、交友関係を築いていく上で、SNSはコミュニケーションにおけるますます大切なツールとなっております。
令和3年度の県の調査では、児童生徒のスマートフォンの所持率について、高校2年生では約99%であり、SNSアプリの「LINE」の利用率も、中学2年生で約8割、高校2年生で約9割が利用するとの結果でございました。
SNS相談窓口の実績については、令和2年度の延べ相談件数が1203件から、令和4年度には1617件に増加するなど、着実に利用が広がっています。
今後も、学校における一人一台端末の活用などのGIGAスクール構想の進展により、SNSなどのデジタルツールを使ったコミュニケーションは広がっていくものと考えられることから、議員お話の気軽に相談できるSNS相談窓口の重要性はさらに増していくものと考えます。
次に、相談窓口の対象を小学生まで拡大することについてでございます。
SNS相談窓口については、県立高校15校の高校生を対象に令和元年度から開始し、令和2年度には、さいたま市を除く県内全ての中学・高等学校に在籍する生徒に相談対象を拡大いたしました。
小学生については、平成30年度の県の調査において、6年生のスマートフォン所持率が3割程度であったことや、小学生と相談員の間で文字だけで円滑なコミュニケーションを図ることに課題があると考えられたことから、令和2年度の拡大対象とはしませんでした。
しかしながら、現在では、小学生のスマートフォン所持率も年々上昇し、令和3年度には66.6%となっていることから、県では、小学生を対象としたSNS相談窓口を開設している他県の状況などを確認しているところです。
他県では、小学生の相談件数が高校生より多い県がある一方で、相談員からの問いかけに対して小学生が十分に思いを表現できていないケースもあり、課題があると認識している県もございました。
県といたしましては、政令指定都市の先行事例も含めて、その運用状況などを幅広く情報収集し、あらためてその効果や課題を整理の上、相談対象の範囲について検討してまいります。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。