Q.権守幸男 議員(公明)
児童養護施設退所者等アフターケア事業の一つとして、昨年7月から、社会的養護を巣立った若者がふらっと立ち寄れて気軽に相談できる居場所事業が始まっています。一軒家を借り上げ、クローバーハウスと名付けられたこの施設を、私たち公明党議員団は8月に視察してまいりました。
開所日時は、毎週金、土、日の正午から午後8時となっています。スタッフが生活や就職といった相談に乗ってくれ、料理や各種の習い事の教室もあり、さらには会社面接用のスーツも貸し出してくれます。低料金で食事をとることもできます。一軒家という家庭的な雰囲気の中、ふだんは1日2人から5人、イベントを開催する日ですと10人くらいの利用者がいるとのことでした。
加えて、この施設の特徴は、スタッフに2人の児童養護施設出身者がいることです。同じ境遇を経た人生の先輩が相談相手としていることは、大変に心強いでしょう。
さらに、この事業を知った近所のパン屋さんからの差し入れをはじめ、先ほど紹介した面接用の貸しスーツ類など善意の寄附もあるそうです。私は、こうした居場所を通して孤独を抜け出し、社会へと再出発していく若者が一人でも多くと、願わずにはいられませんでした。
さて、児童養護施設退所者等アフターケア事業は、御紹介したクローバーハウスだけでなく、就職先の開拓をはじめ、金銭管理の口座、コミュニケーション教室、生活困難な若者を福祉サービスにつなげるなど、多岐にわたる事業が行われ、社会の分断化、孤立化が進む中で困難な状況に置かれている社会的養護出身者の支援に大切な役割を果たしています。
そこで、知事に伺います。
社会的養護出身者のアフターケアの重要性について、どのように考えておられるか。また、今後の取組についても併せてお尋ねします。
A.大野元裕 知事
児童養護施設等の入所児童は、原則として18歳又は高等学校卒業後には退所となります。
しかし、身寄りがない場合や、親の支援が期待できない状況で、進学や就職など自立の道を歩むことは大変厳しいことであります。
児童養護施設等で生活していた社会的養護出身者が自立するためには、きめ細かなアフターケアにより支援することが何よりも重要であると考えています。
現在、県では、進学、就労、住居、生活相談、資金貸付など自立に向けた様々な支援を総合的に行っております。
具体的には、相談・交流できる居場所づくり、就労体験の提供や職場での見守り、自動車運転免許の取得費用、住居の紹介、家賃・生活費の貸付などの支援を実施しております。
今後は、社会的養護出身者や、退所児童等アフターケア事業所「クローバーハウス」を含む関係者の方々から、自立に向けて困っていることは何か、更に必要とされる支援とは何か、を丁寧に伺い、ニーズと効果の高いアフターケア事業を実施してまいります。
また、円滑な自立につなげていくためには、入所中から継続的にきめ細かな支援を行うことも大変重要です。
議員お話しのお金の管理やコミュニケーション方法のほか、賃貸借契約の基礎知識、料理の仕方、社会人としてのマナーなど自立していく上で必要なことを学ぶプログラムの充実を図ってまいります。
社会的養護出身者を誰一人取り残すことなく、各自の適性に応じて自立した生活を送れるよう全力で支援をしてまいります。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。