Q.西山淳次 議員(公明)
40歳以上のがん患者は、本来、65歳以上が対象の介護保険サービスを受けることができます。また、20歳未満のがん患者は、医療費助成や日常生活用具給付がある小児慢性特定疾病制度を利用することができます。
しかし、両者のはざまに位置する思春期、40歳未満の若年成人、いわゆるAYA世代(Adolescent and Young Adult)のがん患者については、在宅療養を支援する制度が整備されていません。
厚労省によると、AYA世代がん患者の6割以上が終末期の在宅療養を希望しているが、公的支援が整っていないため、経済的に安心して在宅で終末期を過ごせない状況があります。こうした中、兵庫県、神奈川県、鹿児島県、静岡県、愛媛県などの先進的な県が、市町村と協調した経済的支援を行っています。いずれも、介護ベッドなどの福祉用具の貸与や購入、訪問入浴や訪問介護などの利用料の9割を市町村と折半で補助するもので、患者負担は1割で済むことになります。
既に本県議会においても、中屋敷慎一議長をはじめ3人の県議がこの問題を取り上げてきました。私も、終末期を在宅療養されたAYA世代がん患者の御家族から直接にお話を伺い、支援制度の必要性を痛感いたしました。終末期を在宅で過ごしたいと思うAYA世代がん患者に寄り添い、在宅療養を経済的に支えることは大変に重要だと考えます。
こうした中、本県の新年度予算には、AYA世代がん患者の在宅療養支援として、医師に対する在宅緩和ケア研修事業が盛り込まれました。若年がん患者は、疼痛管理など高齢者と異なる対応が必要となるため、医師に研修を行っていくとのことです。医療面で、在宅を支える環境を整えることは大事なことと評価をいたします。
一方、これまで本県議会で提案されてきたのは経済的に支える補助制度の創設です。AYA世代のがん患者を在宅でケアできる医師が増えれば、当然、在宅を希望する方も増えてまいります。そのときに経済的に在宅療養を支援する制度がなければ、そして他県ではあると知ったならば、どう思われるでしょうか。
本県内では、さいたま市と加須市が既に単独で実施し、戸田市も新年度からの実施を決断したようです。県のアンケートに対して、県内21の市町は、県の補助制度があれば事業の実施を検討すると答えたと聞いております。機は熟しているのではないでしょうか。
そこで、知事に伺います。AYA世代がん患者の在宅療養を医療環境で支えることに加えて、経済面でも支える補助制度を創設すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
また、我が党の蒲生徳明、橋詰昌児、萩原一寿の3人の同僚議員は、同じくAYA世代がん患者の支援策の一環として、医療用のウィッグ、かつらや乳房補装具などのアピアランスケアに対する支援を求めてまいりました。このアピアランスケアの支援についての検討状況についても伺います。
A.大野元裕 知事
補助制度の創設についてであります。
介護保険が利用できる40歳以上の終末期のがん患者については、介護保険サービスが利用でき、在宅療養を支援する体制が構築されております。
他方、終末期のAYA世代がん患者については、疼痛管理や終末期を一緒に過ごす家族への心理的サポートなどの技術を有する訪問医や訪問看護師等の医療従事者が少なく、在宅療養者を支援する体制が十分に構築されているとは言えません。
県としては、まず終末期のAYA世代がん患者が自分の望む場所で過ごすための体制を整備することが必要と考えます。
議員御指摘の補助制度につきましては、来年度から実施予定の市町村もあるなど支援の必要性について理解が深まってきております。
市町村の補助制度を生かすため、終末期のAYA世代がん患者の在宅療養の担い手育成に取り組むとともに、市町村の実施状況や他県の状況を参考としながら、県としての補助制度の在り方について検討を進めたいと思います。
次に、アピアランスケアの支援についての検討状況についてであります。
県が進めるべきアピアランスケアの支援の在り方については、昨年10月20日に開催した専門医やがん経験者等を構成員とする「がん対策推進協議会」において確認をしました。
協議会では、ウィッグなどの購入費用の助成を望む声もあったものの、まずは、外見の変化や、周囲からがんにかかったかわいそうな人と思われるなどの心理的苦痛を軽減するために、患者に寄り添ったアピアランスケアの必要性が医療従事者の間で認識されることが重要であるとされました。
県としては、こうしたアピアランスケアの本質についての理解を促すため、医療従事者を対象とした研修会を開催するなど、相談支援体制の充実を図ってまいります。
※上記質問・答弁は速報版です。
※上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
※氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。