Q.安藤友貴 議員(公明)
リトルベビーハンドブックとは、小さく生まれた赤ちゃんと保護者のために作られた低出生体重児用の冊子です。主に1,500グラム以下で生まれた赤ちゃんの保護者にお渡しいたします。
子供の成長に合った手帳が欲しいとの保護者の思いが各地で広がっています。通常の母子手帳は、体重が1,000グラム、身長は40センチと、それ以下の体重、身長は書くことができません。また、保護者の記録で「手足をよく動かしますか」などの質問項目を「はい」「いいえ」で答えていきますが、小さく生まれた赤ちゃんの保護者の答えは、ほとんどが「いいえ」となってしまい、母子手帳に興味を失うとともに、小さく産んでしまって申し訳ないとの思いから自分を責めてしまいます。
本県の1,500グラム以下の低体重児は、令和元年度で348人。少子化で出生数は減少傾向ですが、逆に低体重児の出生率は増加傾向にあります。
静岡県では、このような問題を考慮し、地元育児サークルが独自に作った冊子を参考に静岡リトルベビーハンドブックを作成、平成30年4月より配布を開始いたしました。特徴としては、3つの当事者団体と総合周産期医療センターの医師、看護師等専門職、行政機関などが一緒になって全国で初めて作られました。
これが実際のハンドブックです。皆様のパソコンの方にも全部入れさせていただきました。後ほどゆっくりと見ていただきたいと思います。
中を見てみると、子供の細やかな成長を喜ぶことができるよう成長、発達の遅れや個人差を考慮した記録項目となっています。また、保護者の心理的不安に寄り添うため、先輩のママやパパのメッセージを挿入したり、家族会の紹介のページを載せています。
リトルベビーハンドブックは、静岡県をはじめ、福岡、岐阜、広島、愛知、佐賀の6県と5市を含む11自治体に広がっています。
国際母子手帳委員会の事務局長で、リトルベビーハンドブックの作成を支援している板東あけみさんよりお話を伺いました。板東さんより、「この冊子で希望を持って前に進める方がいます。低出生体重児の御家族が誰もが受け取れるようにするためにも、都道府県で作成すべきです」とおっしゃっていました。
また、今年の11月19日の全国知事会が政府に提出した「子どもの健やかな育ちと学びのための提言」の中にも、低出生体重児等の保護者への支援が明記されています。
11月30日、石渡豊議員とともに県立小児医療センターを視察し、総合周産期母子医療センター長の清水正樹先生と副部長の菅野雅美先生にお話を伺いました。小児医療センターでは、1,500グラム以下の低体重児が年間約80人、NICUに入ります。不安な気持ち、いたたまれない気持ちの御家族を近くで見てこられました。先生より、「予定どおり生まれた子の育児書などはどこにでもありますが、低体重児のための本は市販ではなかなかありません」とおっしゃっています。そこで、不安な気持ちを少しでも和らげようと、小児医療センター独自で小さく生まれた赤ちゃんとママ・パパへの冊子「つくしんぼ手帳」を昨年の9月に作成し、御家族にお渡ししています。
これが「つくしんぼ手帳」であります。医師や看護師、臨床心理士、栄養士などの皆さんが一緒になって作成された冊子です。非常に心の籠もった思いのある1冊となっています。
このような冊子の必要性が高いと考えているからこそ、作成されたのです。先生より、「これを市町村で作るのは非常にハードルが高く、県レベルで作成していただいたら、どれだけの方が励みになるのか」とおっしゃっていました。
私は、生まれた後の気持ちが落ち込んでいるときにいち早く保護者への励まし、また支え合う環境をつくることは重要です。そのためにも、このリトルベビーハンドブックは一助になることは間違いありません。県が中心となって医師や看護師、保健師、また保護者の方々と連携を取って、リトルベビーハンドブックの作成を進めるべきです。知事、いかがでしょうか、お聞きいたします。
A.大野元裕 知事
低出生体重児の保護者に向けたリトルベビーハンドブックについては、本県では、川口市が令和元年度に作成し、配布を行っております。
この冊子の特徴は、低出生体重児の育児を経験した保護者からのメッセージが盛り込まれている点にあり、保護者の心理的支援に配慮した内容となっています。
また、個々の発達ペースを記録できるため、冊子を作成している他県や川口市からは、「できるようになったことを記録できて嬉しい」、「メッセージに勇気をもらった」といった感想を保護者からいただいている、と聞いております。
低出生体重児は身長、体重などの成長や運動機能の発達が遅れることが多く、こうしたお子さんを育てる保護者の皆様の御心配、御苦労は非常に大きなものと拝察をいたします。リトルベビーハンドブックのようなツールを活用して、寄り添った支援を行うことは、不安を抱える保護者にとって、心の支えとなるものと考えます。
埼玉版の冊子を作成するに当たっては、同じ経験を持つ保護者からの御意見やメッセージを頂くことが必須となると思います。
併せて、入院中の支援を行う産科医療機関や、地域で成長していく過程の支援を担う市町村の御意見も伺い、当事者、支援者双方にとって利用しやすい冊子とすることも必要と考えます。
先行して作成している他県や川口市の取組を参考に、同じ経験のある保護者や産科医療機関、市町村と意見交換を行い、埼玉県版リトルベビーハンドブックの作成について、検討を進めます。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。