首都直下地震に具体的な備えを

Q.西山淳次議員(公明)

昨年は、大阪府北部地震、西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震など、大規模な自然災害が各地に甚大な被害をもたらしました。災害で亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方に心よりお見舞いを申し上げます。
私たちは、改めて日本全体が災害多発列島であることを認識しました。だからこそ、自然現象そのものは止められなくても、災害を防ぐ、あるいは災害による被害を減らすことに、政治の使命と責任、役割があります。我が党は、今こそ防災・減災への取組を政治の主流、社会の主流に押し上げるべきと考えます。
首都直下地震は、今後30年以内に70%の確率で発生すると言われ、被害想定は最悪の場合で死者2万3,000人、61万棟の建物が損壊、電話は発災から1日以上通じず、電力は1週間以上不安定な状態が続き、鉄道は開通まで1月、道路も深刻な交通麻痺状態に陥ると予測をされています。また、帰宅困難者は東京だけでなく埼玉、千葉、神奈川、茨城の1都4県で800万人に達します。正に、想像を絶する事態ですが、できる限りの想像力を働かせて、一人ひとりの県民にとってはどういう事態になるのかを考えることが大事ではないでしょうか。
例えば幼い子供がいるひとり親や共働きの家庭で親が都内に通勤、あるいは仕事で都内にいる際に大地震に遭遇した場合、どんなことが起きるでしょうか。親はすぐにでも県内の自宅に戻りたくても、電車は不通、電話も通じない、道路も交通麻痺状態で帰れません。体が無事であっても、勤務先あるいは一時避難所などでの滞在を余儀なくされ、長ければ3日間程度待つこともあり得ます。このとき、保育所や幼稚園、学校に残された子供はどうなるでしょうか。親のいない自宅に帰しますか、それとも保育所や学校で誰かが面倒を見ますか。幼い子供は、災害伝言ダイヤルの使い方も分からず、安否確認すらできないことだと思います。仕事でなくても、たまたま都内に出かけていた県民が大地震に遭遇した場合、どこに避難をすればよいのか。高速道路運転中あるいは地下鉄に乗っているときはどうすればいいのか。正に、考えておくべきことはたくさんあります。それぞれの家庭や個人が、いざというときにどう行動すればよいかを平時にできる限り整理して準備しておくことが重要です。住民一人ひとりが災害時に何をするのかを事前にシミュレーションするマイ・タイムラインの考え方です。
本県が推進しているイツモ防災の取組は、災害時の備えをふだんから家族や身近な人と話し合い、準備し、継続する取組であり、同様な考えに立つものです。家具の転倒防止、水や食料などの備蓄品、非常時の連絡方法などを分かりやすく整理した「防災マニュアルブック」もよくできています。
私は、災害に対して県民の意識が高まっている現在を意識啓発の好機と捉え、具体的に首都直下地震を想定したイツモ防災の展開を積極的に図るべきと考えます。都内で地震に遭遇した人への対応や、自宅で待つ人の対応などを具体的に記した「防災マニュアルブック」を作成し、県民に配布することを提案いたしますが、知事のお考えをお伺いします。
 

A.上田清司 知事

県では自助の取組を促進するため、平成27年度から「イツモ防災事業」を市町村とともに展開しています。
この事業はイラストを使い分かりやすく説明したマニュアルブックなどを活用しながら、家具の固定化や家族の安否確認の方法などを県民の皆様に幅広く啓発し、実際の行動に移していただこうとするものでございます。
今年度はNTTタウンページ株式会社の御協力を得て、県内全世帯及び事業所に防災啓発冊子約350万部を配布したところでございます。
各家庭できちんと保管されているとは限りませんので、平成31年度はマニュアルブックをスマートフォンアプリ化して提供し、いつでも持ち歩きができるようにしたいと思っております。
こうした基本的な啓発は進んでいますが、災害時の対応は被災した時の状況や家族構成などにより一人ひとり異なります。正にケースバイケースだと思います。
そのため、議員お話しの都内に通勤・通学している方を含め、県民の皆様が災害時にどう対応するかを日頃からイメージし、具体的にどう行動すればよいか自ら考えておくことが重要でございます。
防災に対する県民の意識が高いこのタイミングを捉え、家庭での備え、つまり家具の転倒防止、3日分以上の水・食料の備蓄、災害伝言サービスの活用の三つの自助を市町村とともにさらにしっかりと進めてまいります。
また、平成31年度には新たに防災マニュアルブックを作成する予定ですので、議員御提案の趣旨を踏まえて内容を充実させていただきたいと思っております。
 
 
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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