Q.深谷顕史 議員(公明)
本県は、3月24日付け厚労省の事務連絡に基づき、今冬の1日当たりの最大感染者数の2倍程度を想定した病床確保計画の見直しを行いました。フェーズ4では、1400床から1661床体制に変更され、受入医療機関数は96となりました。
昨年来、新規受入医療機関も増えていますが、増加した病床の大半は、従来から新型コロナ患者を受け入れてきた医療機関への上積み分であります。医療現場では、この間、決して医療スタッフが大きく増えたわけではありません。ベッドが増えても、人がいなければ病床は回りません。医療現場には大きな負荷がかかり続けている状況であると思います。
第3波におけるピーク時の病床使用率は75.5パーセントで、役割分担は思うように進まず、軽症から重症まで全てを診療する医療機関の一部では、医療崩壊と言われるような状況まで追い込まれました。
第4波で病床使用率が50パーセントを超えることはありませんでしたが、変異ウイルスによって、40代から50代の重症化が増加したことや、医療機関にとっては新年度の人事異動の時期に重なったこともあり、様々な要因から厳しい状況に置かれました。
以上のことを踏まえ、以下3点、知事の御所見をお伺いいたします。
1点目に、確保病床数が増えれば病床使用率は抑えられます。実際に第4波では、第3波と比べると病床使用率は抑えられましたが、ひっ迫する医療現場の状況に大きな差はなかったと感じております。
数値上だけで判断することは、医療現場の状況を見誤ってしまうのではないかと懸念をしております。最前線の医療現場は、患者の傾向や変異ウイルスの影響など、数値やデータの統計よりも常に一歩先を見ています。
県は、最前線で闘う現場の医師の声に、より一層耳を傾け、コロナ対策に反映していく工夫をすべきと考えます。御所見をお伺いいたします。
2点目に、医療がひっ迫した第3波で、重症病床がないにもかかわらず重症化した患者を受け入れ続けざるを得なかった医療機関は幾つあったのでしょうか。
感染力が強いとされるL452Rに変異を持つデルタ株の急拡大に懸念がある以上、重症病床の確保は重要なはずです。
しかし、フェーズ4における重症病床数は、昨年以来目標に掲げてきた200床から162床に下方修正されております。
方針を転換された理由についても御所見をお伺いいたします。
3点目に、感染者急増時の重症病床201床は、昨年から取り組んできたものの一度も確保できなかった病床数です。
医療機関とどのように合意し、確保した病床なのか。どのような状況を感染者急増時と捉え、201床への移行を判断するのか。
即応病床とすることにより、一般医療への影響や三次救急の機能維持についてどう捉えているのか、御所見をお伺いいたします。
A.大野元裕 知事
最前線で闘う現場の医師の声により一層耳を傾け、コロナ対策に反映していく工夫をするべきではないかについてでございます。
県では、埼玉県新型感染症専門家会議を設置し、県のコロナ対策の検討に対し、様々な御助言をいただいております。
専門家会議には、実際に現場で多くのコロナ患者に対応している方の意見も必要であると考え、現場の最前線で対応している医師も委員に加えております。
委員からは、勤務する病院での感染者やスタッフの状況、医師のネットワークの中で話題になっている今後注意するべき症例など、最前線でコロナ対応をされている方ならではの貴重な御意見を伺うことが多くあります。
その他にも、コロナ病床確保と一般医療との両立に向けて地域の医療関係者が意見交換する場や、「症例検討会」として現場で勤務する医師や看護師などがコロナ患者の受入体制などについて議論する場を通じて、様々な意見を伺っております。
今後も様々な機会を通じ、医師をはじめ、コロナの現場で働く多くの方の声に耳を傾け、県のコロナ対策に反映すると共に、的確な運用ができるよう良い事例を紹介することにより、現場の実際の負担を軽減できる方途についても共有をしてまいります。
次に、第3波で重症病床がないにも関わらず、重症化した患者を受け入れ続けざるを得なかった医療機関はいくつあったのかについてでございます。
昨年11月から今年2月までの感染拡大期、いわゆる第3波では、重症病床がひっ迫する中、7医療機関が重症病床を確保していないにも関わらず重症患者に対応していただきました。
こうした医療機関に対しては、重症患者の治療経験のある医師を派遣するなどの支援を行ったところであります。
次に、フェーズ4における重症病床数は、昨年以来目標に掲げていた200床から162床に下方修正されているが、方針を転換した理由について所見を伺うについてでございます。
昨年6月19日の国の通知に基づき一般医療との両立を前提に病床確保計画を策定した際、最終フェーズであるフェーズ4の病床数は、国の患者推計のピーク時の重症患者数155人に対して、2割以上の余裕を持たせた200床を目標として設定し、実際には155床を医療機関と合意の上確保をいたしました。
本年3月24日の国の通知では、感染者急増時病床を別に定めたうえで、フェーズ4の病床数は、実効性を担保するため「目標ではなく実際に医療機関と合意して確保している病床数」とするとの考え方が国から示されました。
この結果、今回の5月31日提出の計画では162床となっていますが、従来計画の目標200床とは考え方が違うため数字の意味が異なり、県として方針転換を行ったわけではございません。
また、従来計画でも、実際に確保できた重症病床数は155床でありますが、今回は162床と7床の上乗せができております。このことから下方修正とも考えておりません。
なお、感染者急増時病床も合わせた合計では201床を確保しており、従来計画の200床を上回っております。
次に、感染者急増時の重症201床は、昨年から取り組んできたものの、一度も確保できなかった病床数だが、医療機関とどのような条件の下もとで合意し、確保した病床なのかについてでございます。
上乗せに当たりましては、4月22日及び23日に開催した病院長会議や5月13日から25日まで各地域を対象として開催した会議において、感染者急増時は一時的な病床であることや、重症病床の人員確保のために中等症病床の削減もやむを得ないこと、重症病床の回転率向上のために下り搬送を県が支援することなどを、丁寧に御説明をいたしました。
これを受け医療機関側としては、要請時は即応病床として実際に受け入れることとなるため、医療従事者や設備の確保、確保病床場所、ゾーニングなどあらかじめのシミュレーションを行っていただき、その上での受入可能という条件で合意をしたものでございます。依頼をした時期は、関西で変異株による感染者が急増し、東京都も4月23日に緊急事態宣言が発出されていたため、埼玉県においても同様の状況になりかねないとの危機感から、「自分たちが重症患者を受け入れないとならない」というお声もいただいておりました。
こうした背景もあり201床の重症病床の確保につながったものと考えております。
次に、どのような状況を感染者急増時と捉え、201床への移行を判断するのか。
即応病床とすることにより、一般医療への影響や三次救急の機能維持について、どう捉えているのかについてでございます。
感染者急増時とは、病床がひっ迫し一般医療を相当程度制限しながらコロナ患者に対応する状況を想定しています。具体的には、重症者数がフェーズ4.の最大確保重症病床数である162床を超える状況と捉えています。
そのため、201床への移行については、医療機関の病床準備の期間を考慮し、162床を超えると予想される日から2週間前に「要請」を行う判断をいたします。
次に、即応病床とすることにより、一般医療への影響や3次救急の機能維持について、どう捉えているのかについてでございます。
各地域の会議において、感染者急増時にコロナ病床を確保した場合に、救急受入れへの支障や手術の延期などの影響があるとの御意見もいただきました。
このため、できる限り特定の医療機関に負担が生じないように、県内全病院に対して陽性患者受入れを依頼するとともに、陽性患者の受入れが難しい医療機関に対しては、コロナ治療が終了した後も持病などで引き続き入院が必要な患者を受け入れる「後方支援医療機関」としての協力を呼び掛けをいたしました。
会議での協議を踏まえた結果、感染者急増時に新たに重症病床を確保する医療機関を含め98の医療機関が陽性患者受入れに御参加いただき、後方支援医療機関は160の医療機関に御協力をいただいております。
このように医療機関がそれぞれの役割に応じてコロナ対応に御協力いただくことにより、一般医療への影響を最小限に抑え、三次救急の機能維持に努めてまいります。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。