Q.深谷顕史 議員(公明)
出産に悩みを抱えた母親が赤ちゃんを産み落とし、出産直後に亡くなってしまう生後ゼロ日死亡が残念ながら後を絶ちません。本年5月、春日部市の用水路で生後間もない女の子の赤ちゃんの遺体が見つかった事件では、母親がトイレで出産し、その後遺棄したことが判明しました。他県でも同様の事件が起きています。
背景には予期せぬ妊娠の末、家族や行政に相談できず孤立し、出産したケースが多いと見られます。妊娠出産に関する知識が乏しく、パニックになって遺棄につながったケースもあります。母子の命を守るため、必要な情報を届け、公的機関や医療機関につなぐ支援体制の構築を急がなければならないと考えます。
こども家庭庁は、来年4月に施行される改正児童福祉法を踏まえ、家庭生活に困難を抱える特定妊婦等の支援のため、一時的な住まいや食事の提供、その後の養育等に係る情報提供や医療機関等の関係機関との連携を行う妊産婦等生活援助事業を創設し、取組の強化を図るとしています。実施主体は、都道府県、指定都市、中核市、児童相談所設置市となっており、既に東京都や佐賀県などでモデル事業が始まっています。
私は、本県の母子生活支援施設に足を運びました。現場の職員の方は、「赤ちゃんを守るためには母親のSOSを受け止め、妊娠中からサポートし、安心して出産できる仕組みをつくるとともに、産後も母子が自立できるまで切れ目のない支援体制をつくることが重要です」と語られていました。私は、この支援体制をつくることで、その後の子育てにおける虐待のリスクも下げられると考えます。
そこで、福祉部長にお伺いいたします。
生後ゼロ日死亡を何としても防ぐため、本県は支援体制をつくるべきと考えます。本事業は国と補助率2分の1の努力義務の事業ではありますが、本県は来年度より妊産婦等生活援助事業を是非実施するべきです。御所見をお伺いいたします。
A.金子直史 福祉部長
虐待や思いがけない妊娠の結果として幼い命が失われることは決して許されることではありません。
近年、虐待による死亡事例については、生後間もない子供をはじめとした乳児期の子供の占める割合が多く、その背景には、思いがけない妊娠や母親が妊娠期から一人で悩みを抱えていたり、産前産後の不調や家庭環境の問題があると言われています。
議員お話しのとおり、令和4年6月の改正児童福祉法により、令和6年4月から新たに妊産婦等生活援助事業の実施が都道府県等の努力義務となります。
この事業は、母子生活支援施設等で住居や食事の提供などの日常生活支援や妊娠・出産・産後の生活に係る相談支援を行うだけでなく、出産後も社会とのつながりを持つことを支援する有意義な取組です。
母親自身の生活が安定し、安全に出産を迎えること、安心できる環境の中で子育てすることは虐待を防止するためには、大変重要です。
県といたしましては、生活に困難を抱える妊産婦が孤立することがないよう、妊産婦等生活援助事業の実施について検討してまいります。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。