Q.安藤友貴 議員(公明)
本県の県立高等学校の志願数は減少傾向にあり、昨年度では募集人数を満たされなかった学校が51校ありました。どこの都道府県でも同じような傾向は見られ悩むところではありますが、各地で魅力ある高等学校への取組が工夫されています。
熊本県では、昨年度まで全校生徒79人、定員割れが長年続いていた熊本県立高森高校が今年、公立高校では全国初となるマンガ学科を新設しました。入学金及び教科書代は、所在地である高森町からの補助金で全額補助、加えて、通学費も年額6万円を上限に助成を行うなど、大変手厚く支援しています。加えて、寮も完備しています。現役の漫画家や編集者が教壇に立ち、本格的な機材も導入されています。高森町は「エンタメのまちづくり」をコンセプトにしており、県と民間企業と連携し、高等学校の在り方検討会議を重ね、この学科創設に至りました。
今年度の前期試験の倍率は1.82倍と募集人数を大きく上回りました。熊本県は、特色のある学科・コースを設置する高等学校においては、県教育委員会に申請し承認を受けることで、学区外からの志願者に入学を許可し得る生徒数を募集人数の40パーセント以内の範囲で変更することができると定めています。このマンガ学科合格者40名のうち11名は県外であり、遠方ですと北は兵庫県から、南は沖縄県の生徒がいるとお聞きいたしました。
一般的に「自宅から近い」「通いやすい」「通学に便利だから」という項目が今、通学している高校生が「なぜこの高校を選んだのか」というアンケートで上位に来る中、このように夢や希望を持ち、遠方より学校を選択するということは、それだけで魅力があると思います。
まず、二点、教育長にお聞きします。
熊本県の一例では、自治体と県、民間企業がタッグを組んで、魅力ある学科を新設いたしました。自治体が望むのであれば、このような連携の仕組みが本県でもできないのか、お聞きいたします。
また、本県も魅力ある、夢のある、そして全国初となるような学科の創設は考えていないのか、お聞きいたします。
次に、別の視点からお聞きします。
昨年度より文科省で新しい高校教育の実現に向けた制度改正の中に、普通科改革が示されました。高等学校設置基準と高等学校学習指導要領の一部が改正され、普通科の枠組みの中に新しい学科が設置できるようになりました。各学科の特色等に応じた学校設定教科・科目を設け、2単位以上を履修させるなどして教育課程を編成しています。長崎県立松浦高校は、普通科を地域科学科へと改編され、普通科の学びに加え、地域特有の課題や魅力に着目した学習を充実させています。
それでは、教育長にお聞きいたします。
1948年以来、75年ぶりに普通科高校の中に新しい学科を設置できる制度ができました。普通科改革の狙いは、同じような教育内容である普通科に特色や魅力のある高校を増やすことです。
本県は、普通科改革についてどのように考えていくのか、お聞きいたします。
最後に、工業系学科高校の施設整備についてお聞きします。
本県内にある県立工業高校15校では、埼玉県内の団体や企業などによる出張授業が行われております。最新技術の講義や体験学習を通じた授業は、生徒たちの可能性を引き出す大切な場になっております。
しかしながら、ものづくりの現場では機械などの設備が日々進化しているのにもかかわらず、工業高校の授業で使用しているものは余りにも古く、せっかく授業で学んだことが現場で生かされていないとお聞きいたします。これでは社会に出たとき最初から覚えないとならず、せっかく工業校で勉強していることが生かされず、もったいないと感じます。
加えて、物づくりの現場では、若い人材への技術継承や人材確保など長年の課題があります。本県の県立工業高校へ行けば即戦力になると広まることで、企業にとっても、そして何より生徒にとっても魅力ある高校になるのではないかと考えます。
今後、機械などの施設や整備についてどう更新していくのか、また、最新技術に触れるための工夫はできないのか、教育長にお聞きいたします。
A.日吉亨 教育長
議員お話しの熊本県立高森高校では、熊本県がエンタメの町づくりを掲げる地元高森町や民間企業と連携して、様々な支援を受けながら「マンガ学科」を新設したと承知しています。
こうした取組は、県立高校が地域に根ざした学びを推進し、魅力向上を図るとともに地域の活性化にも意義あるものと考えます。
県といたしましても、地元自治体からこうした要望がございましたら、地域とともに歩み、地域から信頼される魅力ある県立高校づくりを進めるという観点から、地元自治体の御意見も丁寧に伺いながら、地域から信頼される魅力ある県立高校づくりを進めてまいります。
次に、「魅力ある、夢のある、そして全国初となるような学科の創設」についてでございます。
魅力的な学科を設置することは、県民の期待に応える県立高校づくりを進める上で重要なことと考えます。
県ではこれまでも、時代の変化や社会のニーズを踏まえて、例えば、IT機器を活用して科学的にスポーツを学ぶスポーツサイエンス科や、映像メディアの世界で活躍する人材を育成する映像芸術科など、全国にあまり例のない特色のある学科を設置してまいりました。
また、現在、魅力ある県立高校づくり第2期実施方策に基づき整備する新校においても、より実践的な学びを深めるため、株式会社を設立し、生徒が会社運営を行うビジネスに関する学科など、新しい学科の設置について検討を進めているところです。
県といたしましては、社会状況の変化や、地域や生徒・保護者のニーズをしっかりと踏まえながら、夢のある、魅力的な学科の設置について、今後とも検討してまいります。
次に、「本県における普通科改革について」でございます。
議員お話しのとおり、令和4年に学校教育法施行規則が改正され、普通教育を主とする学科として、これまで普通科以外にも、地域社会に関する学科などの設置ができることとされました。
普通科以外の学科を設置するに当たっては、各学科の特色等に応じた学校設定教科・科目を設けて、自治体や大学・企業等と連携・協働し、総合的な探究の時間を軸とした特色ある教育課程を編成することになります。
こうした普通科改革は、県立高校が独自の魅力や特色を発揮し、それに伴い高校進学希望者の選択肢が広がるといった効果が期待できます。
今後、生徒が多様な分野の学びに接することができるよう、特色ある新たな学科の設置について、学校や生徒の実情を踏まえながら、積極的に検討してまいります。
次に、「工業系学科高校の施設整備について、今後どう更新していくのか、また、最新技術にふれるための工夫」についてでございます。
工業高校に設置している設備については、毎年、各高校の要望を踏まえ、学科の特性に応じた整備の必要性を精査し、更新を行っております。
一方、企業が持つ最新設備は多種多様で、技術的な進歩も速く、これらの全てに対応していくことは難しい状況にもあります。
こうした中、令和3年度には、国の補正予算が措置されたことから、これを活用し、全ての工業高校にレーザー加工機、3Dプリンタなどの大型機材を整備したところです。
県といたしましては、今後、経済団体や大学との連携を活用し、生徒が企業や大学に出向いて先端機器を活用した実習ができるよう取り組んでまいります。
あわせて、最新技術に触れさせるため、経済団体などと連携し、優れた技術を持つ企業等の情報を学校に提供したり、県が生徒の実習体験を企画運営するなど、実践的な学びの機会の拡大について工夫してまいります。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。