Q.塩野正行 議員(公明)
近年、水害や地震など様々な災害が国内で相次いで発生しています。今年に限っても大阪府北部地震、西日本豪雨、台風21号、北海道地震など頻発しています。改めて、これら災害によって犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。また、一日も早い復旧・復興を心から願っております。
公明党県議団は、8月7日、西日本豪雨で51名が犠牲になった岡山県倉敷市真備町を訪問しました。我が党の地元県議の案内で避難所や河川の決壊現場、被災した特別支援学校や図書館、中小企業などを視察させていただきました。被害のすさまじさに言葉を失いました。真備町は河川の決壊により町全体の約3割に当たる1,200ヘクタールが浸水、水の高さは5メートルを超え、2階までつかりました。しかも急激に水位が上昇したため、2階への垂直避難もできなかった。その結果、多くの人命が失われました。犠牲者の9割が高齢者でした。避難情報の発令が遅れたようであります。
見えてきた課題は、時々刻々と状況が変化する中、適切なタイミングで的確な地域に避難情報を発令する難しさであります。避難情報は市町村が発令します。降雨量などの気象データや国・県が管理する河川の水位計のデータなどを基にそれぞれの自治体が判断し、避難準備情報や避難勧告、避難指示を発令しなければなりません。その際の判断基準はありますが、避難を呼び掛ける対象区域の設定や、その後の降水量の予想などを分析し、総合的に判断するには専門的な知識が求められます。避難の必要が迫っているとき、市町村では避難判断のほかに被害状況の確認や災害対策本部の設置、避難所の開設準備、住民への伝達など様々な業務に忙殺されています。県が支援していく必要があると考えます。
そこで伺います。第一に、市町村への情報提供について。
市町村が的確に判断するためには、特定の時点での水位情報だけではなく、降水量の経過や予測に関するデータを基に水位の変動を予想しなければなりません。そうした情報提供が不可欠であり、避難情報の発令が遅れることのないように市町村を支援する必要があると考えますが、今後の取組について県土整備部長よりお答えください。
第二に、市町村の避難判断を自動化するシステムの導入について。
愛知県は昨年、総務省のモデル事業として市町村の災害対策業務を支援するシステムを開発いたしました。市町村に対し、避難情報発令のタイミングを自動的に通知する全国初のシステムです。愛知県に行き、担当者から話を聞いてまいりました。気象庁の気象データや県の水位計データ、市町村のハザードマップなど約20種類のデータを取り込み、災害の危険性が高まる時間帯や対象区域を具体的に予測し、避難情報を出すタイミングと地域を表示するようになっています。避難判断の自動化だけでなく、住民への伝達手段である緊急速報メールやLアラートなどへの同時一括配信もできること、スマホでも操作が可能なため、現場にいる職員が災害情報を入力することで被害状況をリアルタイムに共有できるなど優れたシステムであることが分かりました。本県でも導入すべきと考えますが、危機管理防災部長の御所見を伺います。
A.西成秀幸 県土整備部長
県では、平成29年6月に県内全市町村などを構成員とする県管理河川に関する減災対策協議会を設立し、洪水時における河川管理者からの情報提供など、円滑かつ迅速な避難のための取組を進めております。
既に、新河岸川などの4河川を洪水予報河川に指定しており、3時間先までの予測水位を含めた洪水予報を関係市町へ提供しております。
更に、市町村の避難情報の発令に資する取組として、平成30年度より洪水予報河川と水位周知河川の18河川において、河川管理者と市町村長のホットラインを構築しました。
河川水位が避難勧告発令の目安となる氾濫危険水位に到達し、更なる水位上昇が見込まれるなど、その旨を市町村に直接電話で伝えることとしております。
また、既に設置している203箇所の水位計に加え、平成30年度は、洪水時の水位観測に特化した危機管理型水位計を新たに20箇所設置し、河川水位の危険度をわかりやすく公開する予定です。
今後とも、減災対策協議会を通じて市町村と連携し、市町村長が行う避難情報発令を支援するための情報提供を充実してまいります。
A.槍田義之 危機管理防災部長
本県では平成28年3月から、県や市町村、消防などの防災機関が被害情報を共有できる「災害オペレーション支援システム」を導入しています。
このシステムにおいても、現場からスマートフォンで被害情報を閲覧したり入力することが可能となっています。
また、災害情報を通信事業者などに一括配信できるLアラートを通じて避難情報や避難所開設情報をメディアに配信したり、緊急速報メールを県民の皆様に発信する機能も有しています。
ご提案のシステムは、こうした機能に加え、避難勧告等の発令のタイミングを防災担当者に知らせる機能などがついています。
これにより、大規模水害などの場合に、災害対応で混乱している市町村にとって、発令漏れが防げるなどの効果が期待されます。
愛知県に伺ったところ、今年6月から導入したばかりで、まだこのシステムを活用して避難勧告等を発令した実績がないとのことですので、愛知県での今後の運用状況をみながら、課題や有効性について整理した上で、市町村とともに導入について検討してまいります。
上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。