3.11をもう一つの「防災の日」に

Q.西山淳次 議員(公明)

間もなく、3.11東日本大震災から10年を迎えます。一瞬にして平和な日常が覆され、大自然の前に人は無力であることを思い知らされたあの日から、もう10年の歳月が過ぎようとしています。3.11は私たちの物の見方を変えました。大きな災害は来ないだろうという希望的観測の下に自らの人生や社会を考えるのではなく、大きな災害に遭遇することを前提にすべきであると。
ところで、関東大震災が発生した9月1日が「防災の日」に制定されたのは1960年です。以来、全国各地で9月1日を中心に防災訓練が実施されています。大変意義のある重要な取組です。その上で、私は新たな提案をしたいと思います。
3.11から10年を契機に、本県独自に3.11をもう一つの「防災の日」として新たに制定し、県民による実践的な訓練を行って、更なる防災意識の涵養を進めてはいかがでしょうか。現在、県は9月1日の「防災の日」に9都県市合同防災訓練に参加し、大変高度な訓練を行っていますが、これは一般の県民一人一人が参加するものではありません。そこで、3.11を新たな「防災の日」として、県民参加型の防災訓練を本県として実施してはどうかと提案いたしますが、知事の見解を伺います。
そして、実践的訓練ということで言えば、私はかねてから、徒歩による帰宅訓練を実施すべきと申し上げてきました。例えば首都直下地震が発生すれば、県内で発生する帰宅困難者は74万7,000人、都内では517万人という桁違いに膨大な帰宅困難者が発生すると予測されています。もちろん、一斉帰宅を抑制するために一時的な滞留施設を準備することは必要ですが、これだけ膨大な数の人が何日間もとどまっていることは不可能です。鉄道も復旧の見込みが立たないとなれば、一斉帰宅を抑制しながら、やはり最終的には歩いて帰るしかないわけであります。
私は、今回の質問に当たり、まず自らが体験してみようと、先日、2日間かけて一人で徒歩帰宅訓練を行いました。1日目は、埼玉県庁から所沢市の自宅まで約17キロのコース、2日目は東京都庁から同じく自宅まで24キロのコースであります。結果的に、県庁からは所要4時間、都庁からは6時間、足はぱんぱんになり相当へたばりましたが、何とか歩き通すことができました。
体験してみて思うことは、とにかく一度は歩いてみたほうがよいということです。どれだけ大変か、自分の体力で歩き通せるか、大体のコースと目印は、革靴で大丈夫か、何が必要かなど、実際に体験してみると、とてもリアルに感じられ、防災意識を高める効果も期待できると感じました。おまけに、歩くことで街の様々な表情について新しい発見をすることもできました。
そこで、改めて伺います。実践的訓練の一つとして、9都県市合同でやれればなおよし、それが難しくても本県独自に徒歩帰宅訓練を行うべきと再度訴えるものですが、知事の見解を伺います。

A.大野元裕 知事

3.11を新たな防災の日として、県民参加型の防災訓練実施の提案についてでございます。
甚大な被害をもたらし、かけがえのない多くの命が失われた東日本大震災の発生からまもなく10年となります。
改めて亡くなられた方々と御遺族の皆様に対し、哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々に対しお見舞いを申し上げます。
東日本大震災は、いわゆる「釜石の奇跡」に代表されるように、自助、共助の重要性や、日頃の防災教育の大切さなど多くの教訓を残しました。
こうした貴重な教訓を風化させることなくしっかりと生かしていくことは、我々の責任だと思います。
このため県では毎年3月に、家具の固定や水、食料の備蓄など家庭や地域での防災総点検の実施を呼び掛けております。
東日本大震災の教訓を生かしていくためにも、3月11日を機に改めて防災・減災について呼び掛けることは有効と考えます。
今後、9都県市や市町村とも連携し、帰宅困難の想定も含めた県民参加型の防災訓練の実施についても検討してまいります。
次に、徒歩帰宅訓練についてでございます。
東京都への通勤・通学者が多い本県では、大規模地震発生後、都内から安全に帰宅していただくため、県で設定した区間を徒歩で移動する訓練を平成16年度から23年度まで連続して実施しておりました。
その後、国や9都県市などで構成する首都直下地震帰宅困難者等対策協議会において、「一斉帰宅抑制」が原則とされたことから、平成24年度以降は徒歩帰宅訓練を実施しておりません。
一方で、公共交通機関の運行停止が長引く場合には、徒歩で帰宅することも想定する必要があります。
このため、「徒歩帰宅の心得7か条」を作成し、携帯電話の予備電池や歩きやすい靴などの備え、県民に呼び掛けてまいりました。
また、9都県市で連携し、コンビニエンスストア等にトイレの提供や道路情報の提供など徒歩帰宅者をサポートしていただく協定の締結を進め、安全に帰宅できるよう環境を整備してまいりました。
議員御指摘のように、実際に徒歩での帰宅を経験することは、帰宅経路上の危険個所やトイレの位置、必要な持ち物などを事前に確認することができ、有用であります。
このため、企業等とも連携し、一人一人が各自の勤務先から自宅まで徒歩帰宅を体験する、より実践的な訓練の実施については検討したいと思います。

上記質問・答弁は速報版です。
上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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