2023/11/14 時点での情報
 埼玉県は2023年11月、障がい者や要介護高齢者、妊産婦などが優先的に使用できる駐車区画の適正利用を促す「埼玉県思いやり駐車場制度」をスタートさせ、利用証のプレート交付を始めている。これにより、同様の制度を導入している一部の県内自治体や他府県とも相互に利用証が使用できるようになった。県内では公共施設のほか、民間施設にも駐車区画の設置が広がっている。

■障がい者、要介護高齢者、妊産婦ら向け/県内2610施設に優先区画

 「思いやり駐車場制度」は、県内の公共施設や民間施設で「車椅子使用者用駐車区画」と「優先駐車区画」に障がい者や妊産婦がスムーズに駐車できるよう、その他の一般ドライバーに対して理解と配慮を促すもの。県によると同年10月末までに2610施設が駐車区画を設置。このうち、民間施設は959カ所に上る。県は制度開始に向け、同年5月から県内の大型商業施設やコンビニエンスストアなどに対し、協力してもらえるよう働き掛けてきた。

 利用証を受け取るには申請が必要で、電子申請か各市町村の担当窓口での申請書提出が求められる。電子申請の場合は後日郵送され、市町村窓口では即日で交付される。すでに利用証を取得した女性は「移動に車は不可欠なので大変助かる。窓口ですぐ受け取れたので、早速利用していきたい」と喜んでいた。

■42府県で相互使用も可能

 利用証は申請者の状況に合わせ、①車椅子使用者用②要介護高齢者・障害者等用③妊産婦・けが人等用――の3種類を用意。専用区画に駐車したら、ルームミラーに利用証を掲示することで周囲に知らせる。現在、埼玉県を含む42府県で同様の制度が導入されており、関東では茨城、栃木、群馬、千葉の各県と利用証の相互使用が可能になった。

 県は一般ドライバーへの周知にも力を入れている。制度がスタートした11月1日には、JRの大宮駅と浦和駅で大野元裕知事がチラシを手渡すキャンペーンを実施。また、県内の商業施設にポスター掲示や県の公式SNSで情報発信など、積極的にアピールしている。県担当者は「『思いやり』の心が県内に浸透することで、誰もが安心して暮らせる埼玉県となる。今後も協力施設増と周知に取り組みたい」と話す。

 公明党県議団(蒲生徳明団長)は、障がい者用駐車区画の適正利用について、議会質問や予算要望を通して推進。萩原一寿議員は2014年12月定例会で同様の制度を実施している県内の川口、久喜両市の事例を紹介し、導入を提案するとともに「車いす利用者のための区画も確保すべき」などと訴えてきた。