■県民、学校、企業に指標
基本計画に定めた23年度から3年間で達成すべき指標は、①「にじいろ県民講座」の推進②県内の全公立小中高校で性の多様性に関する授業などの実施③LGBTに理解ある企業数の拡大――の3本柱。
このうち、にじいろ県民講座に関しては、オンラインで配信している「埼玉県LGBTQ県民講座」の動画視聴を推進。県のユーチューブチャンネルから視聴でき、LGBTの基本知識を学んだり、当事者の体験などを聞いたりすることができる。ユーチューブ動画は1万8000人の視聴目標に対し、1万9244人(2024年1月30日時点)が視聴し、すでに目標を達成した。この状況について県の担当者は、「引き続き動画の内容を改善しながら、より多くの人に見てもらえるよう努力したい」との考えを示している。
また、LGBT当事者の児童生徒はどの学校にもいる可能性があることから、全公立小中高校の授業などで児童生徒の理解増進に努める。具体的には、県は児童生徒用と教職員用のリーフレットを全校に配布。全公立校が授業やホームルームで性の多様性について学び合う機会を作る計画だ。
一方、企業に対しては当事者に対する理解ある取り組みを認定する「埼玉県アライチャレンジ企業登録制度」を創設。性の多様性尊重へ企業が取り組むべき指針を示し、県内企業の活動状況を見える化するもので、当事者が働きやすい環境づくりを後押しする。県は220社への拡大を目標に掲げ、これまでに40社が登録している。
■党県議団、多様性尊重をリード
LGBT当事者に対する理解促進について公明党県議団(蒲生徳明団長)は、2020年9月の定例会で当事者支援を強く訴えたほか、党のネットワークを生かし、同性カップルを公的に認めるパートナーシップ制度の県内自治体の拡大に尽力してきた。
党県議団はこのほど、県内のLGBT当事者らでつくるNPO法人「レインボーさいたまの会」の鈴木翔子代表理事らと懇談。その中で鈴木代表理事は、「企業や教育現場などで理解増進が進むことは非常に重要だ」と評価した上で、「これをきっかけにLGBTをはじめとした、さまざまな人権に関する問題解決に向け、国や県での取り組みを加速させてもらいたい」と期待を寄せた。
蒲生団長は、県が20年度に実施した「多様性を尊重する共生社会づくりに関する調査」で県民の3・3%に当たる約24万人がLGBT当事者に該当するとの結果が出たことに触れ、「『見えないマイノリティー』といわれるLGBTへの支援の手をより一層推進していきたい」と力を込めた。